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ブルーインパルスと「河野太郎防衛相の野心」共感のウラにあるもの

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現代ビジネス

「好評」とみて態度一変

 航空自衛隊のアクロバット飛行専門チーム「ブルーインパルス」が、新型コロナウイルス感染者の治療にあたる医療従事者を激励するため、東京都心の上空を舞った。青空に白いスモークを残して、一糸乱れぬ陣形で飛行する姿は医療従事者ばかりでなく、多くの人々の共感を呼んだ。 【写真】日本がF35を「爆買い」のウラで、米軍はF15の大量購入を決めた  河野太郎防衛相は、このイベントを発案したのは自分であると2日の定例会見で明らかにした。後手後手に回った新型コロナ対策や東京地検の黒川弘務検事長に関する諸問題で、安倍晋三内閣の支持率がガタ落ちする中、一人だけ好感度アップに成功した形といえる。ブルーインパルスのスモークは、ポスト安倍の一番乗りを示す狼煙にもみえる。  ブルーインパルスの飛行が直前に迫った5月29日午前。河野氏は白地に5機の航空機が編隊飛行するデザインのマスクをして定例会見に臨んだ。  報道陣から「今日のマスクはどういったものか」と聞かれ、「これはブルーインパルスがデザインされたマスクでございます」と回答。続いて、この日午後に予定されたブルーインパルスによる感謝の飛行について「発案の経緯は?」と聞かれたのに対し、「やることが大事なので、プロセスはどうでも良いだろうと思います」と述べ、答えをはぐらかした。  ブルーインパルス柄のマスクを掛け、どう見ても「察してほしい」という空気を醸しつつ、この時は結局はうやむやにした。  河野氏の態度が一変したのは、ブルーインパルスの飛行が終わり、好意的に受けとめる意見がSNSなどで広がった後だった。

安倍政権「失策続き」の中で

 2日の定例会見に臨んだ河野氏は、米国やイタリアで空軍機が医療従事者に感謝を表す展示飛行をしていたとのエピソードを積極的に話し、「日本でもできないかと航空自衛隊に検討を求めた」と述べた。  一転して「自分が言い出しっぺ」と認めたわけだ。前回の会見で「プロセスはどうでもいい」と発言したことについては「一生懸命練習して、これから飛ぶという時に『あれは私の発案です』と言うのは私のスタイルではない。やぼだと思います」と語った。  「言わぬが花」という言葉がある。事前に聞かれて沈黙を貫いたのだから、ブルーインパルスの飛行が終わった後も「発案者は自分」と明かさずにいればよかったのに、と思う。  むしろ飛行開始前の5月29日の会見でこそ、「発案者は自分」と明かし、意思決定プロセスの透明性を確保して、世論の反応を待つべきであった。「医療関係者に手当を配るのが先だろう」などの批判は出たものの、概ね成功裏に終わったとみるや、「あれは自分の手柄」と言わんばかりの態度を取っては見苦しいばかりだ。  そんな意思決定のプロセスには無頓着なのか、今回、大喜びした人がいる。安倍首相である。首相官邸の公式ホームページの中で、ブルーインパルスの編隊飛行を見上げ、拍手を送る動画を公開した。  安倍首相は自身のツイッターに「ブルーインパルスと共に医療従事者をはじめとした皆様へ、心からの感謝と敬意を込めて、拍手をさせていただきました」と投稿。フォロワーからは「安倍首相ありがとう」「安倍総理頑張れ」といった書き込みが寄せられた。  展示飛行の成功は、失策続きの安倍内閣としては最近にない「慶事」となったのではないだろうか。かかった経費は燃料費や輸送コストなど「約360万円」(河野防衛相)とされ、今だに全世帯には届かない「アベノマスク」の経費260億円と比べ、いや比べ物にならないほどの「低コスト高評価」となった。

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