日産、武田薬品、富士通、第一生命、リコー...上場企業の希望退職募集が1万人に いったい今なぜ?
師走の再就職先探し、若年層はいいが中高年は時間がかかる
――なるほど。リポートでは、「新たな特徴は、募集人数を公表しない募集や、グローバル企業の国内外での大規模募集が始まった」として様相が変わってきたと指摘しています。どういうことでしょうか。 本間浩介さん 日産や武田薬品はグローバル企業で、国内外に製造や研究の拠点を構えています。ただ、本体の業績回復には国内の事業だけでなく、海外事業にもメスを入れ、より大きな構造改革を進めるとみられます。 ――それにしても、師走を控えて再就職を目指す人々は大変です。募集した企業はそれぞれどんな手立てを講じようとしているのでしょうか。 本間浩介さん 特別退職金や加算金を出すのと同時に、人材系企業に依頼して再就職支援を行うのが一般的です。年末の12月は、多くの企業で人事異動の玉突きや体制変更などがあり、それに伴い転職市場も年明けに向けて動きが活発化する一面もあります。 ただ、中高年層の転職は、若年層より時間がかかってしまうかもしれません。
トランプ政権スタートで、ますます希望退職募集が加速?
――来年(2025年)は米国でトランプ政権がスタートし、日本企業の前途も不透明さが増しています。希望退職の募集は今後も増えるでしょうか。 本間浩介さん 日本はまだ対象になっていませんが、トランプ政権下では関税引き上げと為替変動を常に念頭に置くべきです。こうした先行きの不透明感に備え、企業はより身軽に新規分野への進出、変化への対応力を備える意向が働くと予想されます。今後も増加していく可能性は高いと思います。 ――今回の調査で特に指摘しておきたいことがありますか。 本間浩介さん 企業にとって希望退職の募集は苦渋の決断です。社員の士気低下や想定外の生産性低下なども危惧されます。企業はさまざまなステイクホルダーがおり、収益確保を優先せざるを得ない現実もあります。 今後も希望退職を伴う不採算事業の見直しや事業の取捨選択を避けられず、終身雇用を前提に働き続けることは難しいかもしれません。 (J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)