【アジア最前線:タイ #7】首都をラッピング列車が走る光景は、「アジア戦略」の成果の現れ
J1全クラブの選手が描かれたバンコクの高架鉄道
11月7日から12月20日にかけて、連日、バンコクの街をJリーグのラッピング列車が走行した。Jリーグが推進する「アジア戦略」の一環として、タイの首都を走る主要交通機関であるバンコク・スカイトレイン(BTS)の車体に「2020明治安田生命Jリーグ」のプロモーション仕様のデザインが施されたのだ。 車体には「Global Icons, Local Heroes, This is J.LEAGUE.」というプロモーションコンセプトに沿って選出されたJ1リーグ全18クラブの選手が描かれている。チャナティップ、カウィン(北海道コンサドーレ札幌)、ティーラトン(横浜F・マリノス)、ティーラシン・デーンダー(清水エスパルス)という2020年のJ1リーグでプレーしたタイ人選手をはじめ、イニエスタ(ヴィッセル神戸)、オルンガ(柏レイソル)、中村俊輔(横浜FC)など他のクラブからも1名ずつが選出されている。 通常、BTSの車体はタイ国旗を連想させる白、赤、青の3色でデザインされているが、この期間はJリーガーたちが4両編成の車両全体をカラフルに彩った。1999年の開業以来、運行区間の拡張を続けてバンコクの郊外まで伸びる路線となっているBTS。タイの急速な発展を象徴する存在でもある高架鉄道の様変わりしたボディは、バンコクの人たちにかなりのインパクトを与えたに違いない。 車両にはJリーガーたちの姿とともにタイ語で「アジアNo.1のリーグを見よう」というキャッチコピーが添えられ、現在タイにおけるJリーグ放映権を持つ「SIAM SPORT」と「MCOT」の宣伝もされている。実際、チャナティップやティーラトンをはじめとするタイ人Jリーガーたちの活躍によってタイでのJリーグ視聴率は急上昇中で、徐々にJリーグそのものへの関心も高まってきている。BTSのラッピング列車は、そんな追い風をさらに加速させるための大々的なプロモーションとなった。