近藤一樹・俺はまだやれる! 胸中激白インタビュー
ユニフォームを脱ぐ選択を迫られながらそれでもなお、現役続行の道を探る男たち――。まずはその中の一人、近藤一樹が、素直な気持ちを語ってくれた。 取材・構成=依田真衣子 写真=BBM
突然の戦力外通告
――10月下旬、戦力外通告を受けましたが、現役続行の道を探っていくそうですね。 近藤 これを言うと、「近藤甘いな」って思われてしまうかもしれませんが、今年はつまずいている感じがありながらも、自分の中では原因や解決策をつかみかけていたんです。どこかがすごく悪くて、体がまったく動かないとかではなかったんですよ。自分の感覚や感触が紙一重でズレていた。まあ、そこを一致させるのがプロなんですけど、苦戦したその部分を、来季は修正できる自信がありました。そう考えていた中での宣告だったので、まだ気持ちの切り替えも全然できていないんです。 ――来年のビジョンを描いていたのに、それが叶わなくなったショックというのは、相当なものなのではないでしょうか。 近藤 ショックでしたね。実は今まで僕、オフシーズンに向かっていく中で何度も“死んでる”んですよ。「今年はケガもしてるしダメだろうな」という年でも、時間をくれる契約をしてくれるとか、全然仕事ができていないのに契約は更新されるとか。自分の中では何度も“死んでる”んですけど、ここまで何とか生き延びてきて。だけど、今回は本格的な戦力外だったので、かなりショックでした。 ――戦力外通告を受けるかもしれない、という前兆は、感じていなかったんですね。 近藤 そうですね。心の準備ができる1年だったら、また違った選択もあったと思うんです。ケガをしていたとか動けないとか、使われることが減っていくとか。そんな中だったら、「今年で区切りが来るかな」という覚悟がだんだんと決まっていくんでしょうけど、そういう兆しもまったくなかったので。まあ、年齢も年齢なので、そろそろ……ってところではあると思うんですけど、僕の中で、心の準備をする1年を送ることはできませんでした。 ――一軍で20試合に登板していましたからね。 近藤 今年に関しては、構想外だと言われる気がしなかったですし、そういう気配もなかったので。心の準備をする時間もなく、ただ悔いだけが残っています。いずれにせよ、いつか現役に終わりは来ますし、それが遅いか早いか、このタイミングかどうか、っていうだけの話なんですけど。でも、一番動けるのも投げられるのも、今、そして来年だと思うので。現役続行という選択が、今は一番正しいと思っています。 ――開幕直後こそ調子は上がらなかったものの、9月1日の阪神戦(甲子園)では、一死二、三塁で登板し後続を断つなど、好リリーフを見せました。 近藤 本格的に中継ぎを経験できたのはヤクルトが初めてなんですが、悪い中でも中継ぎのコツというか、毎日同じように準備していけば毎日投げられるコツ、リズム的なものを把握できるようになってきていたんです。なので、来年もチャンスをいただければ、同じようなリズムでできる手応えはあります。そう考えると、やっぱり、もうちょっと投げたいなと思うんですよね。