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テイラー・スウィフトの発言めぐり言語学者と「語法は変化する」派がバトル

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The Guardian

【執筆:David Shariatmadari】  米人気ポップ歌手テイラー・スウィフトは先日、ガーディアン紙のインタビューで胸の内を率直に語り、(米人気ラップ歌手カニエ・ウエストとキム・カーダシアン夫妻とのあつれきに加えて自身が受けたセクハラについての裁判を控えていた)2016年夏のことは思い出したくもないと打ち明けた。「文字通り(literally)自分が壊れるところだった」。ファンは、スウィフトがウエストともめていた経緯や、本当は応援していた大統領候補(ヒラリー・クリントン氏)のことをあの頃はなぜはっきり支持していると表明しなかったのかについて語った話を全面的に受け入れたが、インターネットの一部ユーザーの間ではスウィフトをめぐって別の問題が炎上した。  炎上は誇張にしても、著名な言語学者で認知科学者のスティーブン・ピンカー氏がスウィフトについて「A.W.F.U.L(「literally(文字通り)を比喩的な意味で使う米国人」の頭文字とawful「ひどい」をかけている)の新メンバー」と呼んだのは事実だ。つまりスウィフトは、本当に「体が壊れそう」だったわけではない。彼女がヨガの話をしていたなら別だが、というわけだ。  また始まった。言葉本来の意味に厳格にこだわる派閥と、言葉は進化するものだという考えを持つ派閥同士の新たな一戦だ。前者によると、「literally(文字通り)」とは「比喩や寓意ではなく、文字に記した通りそのもの」の意味でなければならない。  後者は、この言葉はもっと大雑把に使用されており、それで何も問題はないと考えている。産婦人科医のジェニファー・ガンター氏はピンカー氏に対し、「言語は進化する。文字通り。変化を起こす原動力は若い女性だ。受け入れて。できないなら脇にどいてて」とツイートした。  結局、誰が正しいのか? そして人はなぜ「literally(文字通り)」という言葉にそんなに神経をとがらせるのか?  後者の考えを理解すれば前者の言い分も分かってくる。英語学の専門家マイケル・イスラエル氏は、「文字通り」は変化の途上にある単語なのだと主張している。多くの言葉がたどった道を今歩んでいる最中なのだという。  例えば、次の文章を読んでみてほしい。Djokovic is really giving Federer a thrashing today.(「今日のジョコビッチはフェデラーに圧勝ペースだ」。直訳は「今日のジョコビッチは本当にフェデラーにムチを打っている」)。テニスの試合で実際にムチを打つ場面などないのだから、語法が間違っていると文句を言う人がいるだろうか? 少し言い過ぎだという人はいるかもしれないが、「really」は「本当に」の意味なのだからこれは誤った語法だと言い張る人がいたら、むしろ驚いてしまう。

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