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ニュー・ホライズンズによる冥王星の接近観測から5周年

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日本時間2015年7月14日、NASAの探査機「ニュー・ホライズンズ」によって史上初となる冥王星の接近観測が行われました。歴史的な観測から今年で5年、それまでの予想を覆した発見の数々がジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所によってまとめられています。

■ニュー・ホライズンズが撮影した印象的な「ハート」形の領域

ニュー・ホライズンズが撮影した画像のなかでも目を引くのは、ハート形にも見える明るい色合いの領域です。冥王星を発見したクライド・トンボー氏にちなんで「トンボー領域(トンボー地域)」と呼ばれるこの領域のうち、比較的平坦な西側の部分は「スプートニク平原」と名付けられています。スプートニク平原は少なくとも厚さ4kmに及ぶとされる広大な氷床で、主に窒素の氷でできています。ここには40億年ほど前に直径50~100kmほどの小天体が衝突したと考えられており、薄くなった地殻の表面に氷の層が形成されたとみられています。 また、冥王星と最大の衛星カロンは潮汐作用によって自転と公転の周期が同期した「潮汐固定(潮汐ロック)」の状態にありますが、氷床が成長するにつれて冥王星の自転軸が変化し、スプートニク平原がカロンの反対側に位置するようになったと考えられています。

■窒素の循環によって風が吹き、氷河が流れる

このスプートニク平原には、東側から幾つもの氷河が流れ込んでいるといいます。地球の氷河は長年降り積もった雪が厚い氷となって流れ下りますが、冥王星では地表から揮発した窒素が再び凍結することで蓄積し、高地から低地へと谷を刻みながら流れているとみられています。冥王星の表面には窒素の氷よりもわずかに密度が低い水の氷も存在しており、窒素の氷河によって削り取られた水氷の塊が氷河の表面まで浮かび上がったとみられる「氷山」が幾つか確認されているといいます。 こうした窒素の循環は、冥王星に風の流れを生み出しているとも考えられています。最近の研究では、スプートニク平原の北部で揮発した窒素が南部で凝縮する過程で風の流れが生じ、最大で時速およそ32kmの西へ吹く風を生み出している可能性が示されています。研究を率いたTanguy Bertrand氏(エイムズ研究センター、NASA)は「冥王星の『ハート』は大気をコントロールしています」と語ります。 また、スプートニク平原の表面には、顕微鏡で見た細胞のような模様が存在しています。この模様は冥王星内部の熱によって温められた窒素の氷の対流を示しているとみられており、模様の中央付近では温かい氷が上昇し、模様の境目では冷たくなった氷が沈み込んでいると考えられています。

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