「弱すぎ(!?)」石破政権の誕生は、政界大再編の始まりなのか?
ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。 「官房副長官ポストまで含めると、石破陣営にはせ参じた議員が8人も閣内入りしているわけですから、ひと言で言えば論功行賞。 その反動で高市支持の旧安倍派などからの起用はゼロとなりましたが、決選投票での議員票がほぼ互角だったことを考えれば、今回"干される"形になった大きな固まりは、間違いなくアンチ石破で結束する。野党と対峙する前に党内から足を引っ張られかねないことは、今後の大きな不安材料です」 特に、国葬の際に故・安倍晋三元首相を「国賊」と批判し、党員資格停止処分を受けた村上誠一郎氏の総務大臣就任には驚きの声が相次いだ。石破首相と村上氏は、第2次安倍政権時代に"党内野党"として論陣を張り続けた盟友で、この起用は党内で権力の「再編」が起きていることを象徴する人事となった。 「これに旧安倍派は猛反発しており、早くも陰で"石破降ろし"を口にする議員もいる。『総裁選が終わればノーサイドで挙党一致』というフレーズは幻に終わりそうです」(前出・自民議員秘書) ■早期解散は恥だが役に立つ......のか? 党内基盤の弱さをカバーする最良の薬は、なんといっても国政選挙、特に衆院選に勝つことだ。安倍元首相も国政選挙で6連勝し、盤石の政権基盤を築いた。 ただし、石破首相は長年、政権延命や党利党略のために総理大臣の独断で行なわれる、いわゆる「7条解散」に否定的だった。総裁選の最中も、早期解散を主張する小泉進次郎氏に対し「国会での与野党論戦が必要」と反対の論陣を張った。ところが......。 「石破さんはいざ総裁に選ばれると、首班指名を受ける前に――つまり、法的にはまだ首相ではなくなんの権限もない状態で、27日投開票という早期解散スケジュールを打ち出した。これは前言撤回というだけでなく、立憲主義の観点からも問題の多い"暴走"でした」(野党国対関係者) この暴走の理由を、前出の自民議員秘書が解説する。 「実は、石破首相本人は『予算委員会をやった上で、年内に総選挙をやればいい』と周囲に語っていました。早期解散へと翻意を促したのは、党運営などで石破首相が全面的に頼らざるをえない百戦錬磨の重鎮・森山裕幹事長です。 新政権への期待が高いうちに総選挙に打って出て勝利すれば、政権基盤も安定すると、石破首相にかなり強い口調で進言したそうです。 早期解散なら、懸案の裏金議員を公認するかどうかの審査も時間不足を理由にスルーできるという計算も新政権内で働いたのでしょう。しかし、しょっぱなからこれでは、石破さんはあまりにも弱すぎる。『まるで森山政権だ』との声さえ聞こえてきます」