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焼肉店の精肉テークアウト販売が盛況 コロナ禍における苦肉の策が新機軸に

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日本食糧新聞

緊急事態宣言が解除された6月以降、徐々に客足が戻っている外食市場だが、ファストフードを除く多くの業種業態は苦境が続いている。中でも居酒屋は深刻。日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査では調査サンプル(既存店)の居酒屋のうち約1割が閉店したもようだ。対照的に焼肉が大健闘している。焼肉は外食人気の筆頭格であり、無煙ロースターによる換気の優位性も追い風になっている。 加えてコロナ禍を契機に「焼肉用精肉」のテークアウト販売に乗り出す焼肉店が増えており、バーベキュー(BBQ)ニーズにマッチして新規開拓に手応えをつかんでいる様子だ。2万店・1兆円と目される焼肉市場で新たな需要を掘り起こした成功事例を追った。 仙台市に4店舗を構える「焼肉レストランひがしやま」は4月中旬、宅配焼肉「ニククル」を始めた。かねて専門店向けの調理下請け事業をセントラルキッチンで行っており、そのセントラルキッチン機能を活用したサイド事業である。開業に当たり、三輪バイク6台と軽自動車2台を導入、新聞折り込みでメニューブックを配布、家庭用ロースター(カセットコンロ)の貸し出しも用意した。 積極的な試みはコロナ禍の巣ごもりに的中。5月は客単価6500円で月商1000万円を突破。イートイン客が回復した6~7月は半減したが、リピートの感触は強く、8月は600万円と盛り返した。 中山栄一社長は「焼肉のセントラルキッチンを有効活用するサイド事業として有望。採算ラインは月商300万円。焼き方の派遣をセットにしたケータリングの要望もあり、大きな可能性がある」と意気込む。 北海道苫小牧市を拠点に9店舗を有する「金剛園」は4月売上げが前年比40%減と苦戦。打開策としてタレを絡めた精肉と焼肉弁当のテークアウト販売を始めた。結果、5月同7%増、6月同10%増と健闘。テークアウト比率は約5割に達した。イートイン客が回復した7~8月もテークアウト比率は1割以上残り、両月とも同5%増を突破。コロナ禍における苦肉の策が新機軸に昇華したもようだ。 須藤精作社長は「受け渡し時、客との会話で当店のタレが想像以上に評価されていることを実感。地域に根差したストアブランドの強みも再認識した」と語り、「テークアウト販売の客単価は3000円を超え、人時生産性も高い。一過性ではなく一定の需要があり、既存店売上げの底上げに有効」と説く。 大分県内に10店舗を展開する「韓国苑」は4月下旬、イートインメニュー全品のテークアウト販売を開始した。約4m四方の大型看板に描かれた店名ロゴを「車に乗ったまま待たずにお受け取り」というキャッチコピーに変更。この大胆な機動力がコロナ禍の欲求不満に刺さり、看板変えの翌日から予約注文が殺到した。 ゴールデンウイーク(GW)と盆期間は毎年一番を争う繁忙期だが、いずれも前年並みの売上げを達成。GW中は全社員が朝6時から仕込みに追われる繁盛ぶりを見せ、7~8割減を覚悟した4月の重苦しさを吹っ飛ばした。 橋本健司専務は「ローカルは同調圧力が強いので休業も考えたが、ホームセンターでバーベキュー関連が売れているのを知り、駄目もとでテークアウト販売に挑戦した」と語り、「GWにドカーンと来た感じ。前日注文9割から客の強い目的意識を実感。客単価6500円は焼肉の強さ証明。精肉は肉屋に負けると思っていたが、焼肉タレの付加価値は予想以上に強い」と言う。 焼肉は香り漂う「直火焼き」が魅力だが、各店独自の「もみダレ」も腕の見せどころ。むしろもみダレのおいしさが繁盛の明暗を分けると言って過言ではない。もみダレを絡めた焼肉用の精肉は、精肉店の精肉(素肉)よりも付加価値が明確。何より焼肉は客単価が高い。紹介した成功事例は焼肉店の精肉販売が十分に通用することを実証したといえる。 <注>焼肉店が精肉販売するには店舗を管轄する保健所から「食肉販売業許可」(食品衛生法)を得る必要がある

日本食糧新聞社

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