【2021のヒーローになれ】「唯一のプレースタイルを持ちたい」鈴木唯人。今季は1点の壁を越えてみせる | 清水エスパルス
【国内サッカー・ライターコラム】ついに始まる新シーズン。Jリーグのキャッチフレーズとなる「2021のヒーローになれ」にちなんでJ1各クラブの注目選手を紹介する。清水エスパルスからは、プロ2年目で“クラブ伝統の23番”を背負う鈴木唯人をピックアップした。
“シーズン初ゴール”に込めた強い気持ち
目の前に立ちはだかる「1点」の壁。清水エスパルスのMF鈴木唯人は、プロ1年目の昨シーズンに乗り越えられなかった壁を打破しようともがいている。 強い気持ちは、今シーズン初の対外戦となった1月27日の常葉大学との練習試合で早速表れていた。1本目に出場した鈴木は、ロングボールに抜け出した際、相手GKに倒されてPKを獲得。この時、ピッチ内にはボールが“二つ”あった。一つは、新加入のブラジル人FWチアゴ・サンタナが「俺が蹴る」と言わんばかりに抱えていた。しかし、ポルトガルリーグで得点王争いを繰り広げてきた実力者の威厳に満ちた振る舞いにも、鈴木は怯まなかった。 「最初、サンタナが蹴りそうになっていたんですけど、結果を残したかったのは自分も同じ。ここで譲っていちゃダメだと思って、『自分で蹴るよ』と言って蹴りました」 この“シーズン初ゴール”で弾みをつけた鈴木は、その後行われた練習試合でもコンスタントに結果を残し、開幕に向けて好アピールを続けてきた。
リーグ戦30試合出場も0得点。昨シーズンは「しっくりこない」
振り返れば昨シーズンの開幕前は、紅白戦すら参加させてもらえず、他の若手選手たちとともにピッチ脇でボール回しをしていた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響による中断期間を経てチャンスをつかむと、終わってみればリーグ戦30試合に出場してルーキーイヤーの幕を閉じた。 「最初の頃は、自分でもホント笑っちゃうぐらい別メニューの日々だったんです。だけどその時に、試合に出られない状況が“普通”だと思えたのが良かったのかもしれない。プライドを全部捨てて、“できなくて当たり前”だと思いながら、試合に出る準備を続けてきた。あれだけ試合に出られるとは自分も予想してなかったし、多くの人の予想を超えられたんじゃないかなと思います」 「シュートまでの形はしっかり持っている」(中村慶太)と言われるように、出場した試合では、時間が短くとも前への推進力を発揮し、数多くのチャンスを演出した。ただ、自分自身でゴールネットを揺らすことは一度もなかった。だから、昨シーズンを総括すると「しっくりこない」という言葉に集約される。