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住民苦情でホームレス「排除」の張り紙 横浜・馬車道駅、揺らぐ人権意識

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カナロコ by 神奈川新聞

 みなとみらい線の馬車道駅で、ホームレス排除の動きが顕在化していることが22日、関係者への取材で分かった。近くのマンション住民らから苦情が相次ぎ、鉄道事業者は居座らないよう求める大量の張り紙を掲示。同様の苦情を受けた横浜市も静観を続けていた。支援団体は「排除すべきはホームレスではなく、人を人として見ない浅はかな考え方だ」と反発、社会的弱者への人権意識が揺らいでいる現状に警鐘を鳴らしている。  「駅構内で新聞紙や段ボール、私物等を置いて居座ることは、駅をご利用されるお客さまへのご迷惑となるのでおやめください」  馬車道駅コンコースに滞在するホームレスの周囲には、1人につき大小3枚ほどの張り紙が貼られている。みなとみらい線を運営する第三セクター・横浜高速鉄道が、6月中旬に掲出した「お願い」だ。  支援団体などによると、同駅コンコースには2004年の開業後から、失業で住居を失うなどした人たちが集まり始め、終電から始発までの閉鎖時間を除き10人前後が滞在している。一方、駅前には高層マンションが完成し、春ごろに入居が始まった。市役所も駅近くに移転し、ホームレスの横を住民や市職員が通り過ぎる光景が日常となっているという。  横浜高速鉄道によると、周辺住民からの苦情は6月ごろから相次いだ。男性や女性から「駅にいるホームレスをすぐに追い出してほしい」「ホームレスがいるだけで不安」といった声が電話やメールで寄せられ、同社は「再三にわたり厳しく対応を求められたことから、市と内容を相談した上で張り紙を掲示した」と説明している。  近くのマンション住民を名乗る男性からは市にも電話があり、健康福祉局の担当者によると「コンコースにいるホームレスを立ち退かせてほしい」と強い口調で主張したという。  これに対し、市は具体的対応策は示さず、駅の張り紙についても「黙認」している状況。今後、住民から相談を受けた際は「人権を尊重し、強制的に排除はしないというのが原則。中区役所の職員と巡回による声掛けを強化して適切に対応していきたい」と、市の立場を説明するとしている。  こうした現状について、寿支援者交流会の高沢幸男事務局長は「市は市民に対してホームレス問題への理解を促し、人権を守る責務があるはずだ」と強調する。ホームレス排除の動きは新型コロナウイルスに対する市民の不安も背景にあるとみて、「ストレスが社会的に立場の弱い人に向かう傾向にある」と指摘、行政による支援の必要性を訴えている。

神奈川新聞社

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