【2021のヒーローになれ】新生レッズの象徴へ。大卒ルーキー・伊藤敦樹に秘められた可能性 | 浦和レッズ
【国内サッカー・ライターコラム】ついに始まる新シーズン。Jリーグのキャッチフレーズとなる「2021のヒーローになれ」にちなんでJ1各クラブの注目選手を紹介する。浦和レッズからは、流通経済大から加入した大卒ルーキー・伊藤敦樹をピックアップした。
戦術理解、状況判断に優れたルーキー
伊藤敦樹のなにがいいって、まず立ち姿がいい。 上から一本の糸で吊るされているかのように、背筋がピンと伸びている。そういう選手はたいてい視野が広く、戦況の理解や状況の判断に優れるが、伊藤もその例に漏れない。 浦和レッズは今季、徳島ヴォルティスで指揮を執っていたリカルド・ロドリゲス監督を招聘し、ここ数年とは大きく異なるサッカーに取り組もうとしている。自陣から丁寧にボールをつなぎ、ビルドアップからクリーンにボールを前進させて敵を攻略するスタイルだ。そのためには、選手各々が効果的な立ち位置を取りながら優位な状況を生み出すアクションを起こし続ける必要がある。 攻撃の第一歩となる自陣でのビルドアップでは、基本的に相手のファーストディフェンダー(主に相手FW)に対して数的優位を作ること、いわゆる“プラス1”を効果的に生み出すことが求められるが、伊藤は新体制で早くもその役目を的確にこなせそうな雰囲気を漂わせている。 2月13日に行われた相模原とのトレーニングマッチでは1本目にボランチとして先発出場すると、状況判断の良さを生かしてビルドアップの局面で気の利いた動きを随所に見せていた。相手の一列目の挙動、周囲の味方のポジショニングを見て、位置的にも、数的にも優位になる立ち位置を押さえていた。それによって、浦和はビルドアップの出口を作り出し、敵陣に丁寧にボールを運べていた。 「戦術理解度に関しては、自分で言うのもおこがましいですが、サッカーを知っている方だと思いますし、戦術理解や頭を使うことは自分の特長でもあると思います」 自分で言うだけのことはある。 もっとも、きらりと光るのは頭の良さだけではない。足元の技術もしっかりとしている。特に、ミドルレンジのパスを出す際に、ピッチを滑るように走るグラウンダーのボールを蹴れるのがいい。 ボールに変な回転がついたり、大きくバウンドしたりすると、受け手の負荷が増す。そのせいでボールをうまく収められなかったり、せっかくパスが通っても、トラップに意識を取られたことで周囲の状況を確認できず次の攻撃につなげられなくなる。地面を舐めるように転がっていくボールが蹴れると、受け手のプレーに余裕が生まれる。