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苦境の百貨店の切り札となるか、タンスに眠る百貨店商品券

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東京商工リサーチ

 2020年1月、山形県の老舗百貨店(株)大沼(TSR企業コード:210002948、山形市)が破産した。徳島県では今年8月、「そごう徳島店」が閉店。百貨店のない都道府県は2県に広がった。馴染みの百貨店の閉店も続いている。いま、百貨店が発行する「商品券」が行き場を失いつつある。 ◇知らぬ間に紙切れになる可能性  「百貨店全国共通商品券」などの「商品券」は、基本的に有効期限はない。タンスに眠ったままの商品券も、発行した百貨店が生きている限り使用できる。  だが、発行した百貨店が、倒産や廃業すると話は別だ。倒産した大沼の「商品券」は還付手続きが終了した。8月末閉店の福島県の中合が発行した自社「商品券」はすでに使えず、「全国百貨店共通商品券」も11月末で使えなくなる。救済措置を知らないと紙切れに変わる。  全国で使われず眠っている百貨店「商品券」は2000億円以上に達するもようだ。 ◇「商品券」の販売は10年で半減  全国の百貨店など約500店舗で使用できる「全国百貨店共通商品券」は、百貨店ごとに発行している。  「全国百貨店共通商品券」以外にも、自社のみで使える「商品券」やギフトカード、積み立て式の「友の会」など、さまざまな顧客サービスが展開されている。  日本百貨店協会が公表する「商品券」の売上高では、この10年間で2010年の2707億円をピークに、年々減少をたどり、2019年は1302億円まで落ち込んだ。  「商品券」の未使用残高は公表されていない。日本資金決済業協会の「発行事業実態調査統計」によると、43百貨店が回答した商品券やギフトカードを含む未使用残高は、2018年度で2459億円に達する。商品券だけでも2000億円は未使用とみられる。  業績悪化が喧伝される百貨店だが、使われない「商品券」は高水準を持続しており、その利用促進が業界全体の課題でもある。

◇複雑な「商品券」の会計処理  一般的な「商品券」の会計処理は、発券時は負債に計上し、商品と引き換えたタイミングで売上を計上する。また、一定期間の未使用「商品券」を収入や受入益に計上し、後に利用された分を損失や事前に引当金を積むケースもある。  百貨店最大手の(株)三越伊勢丹ホールディングス(TSR企業コード:297339362、新宿区)の2020年3月期連結決算では、流動負債に「商品券」を773億7400万円、取り崩し後の利用に備えた商品券回収損引当金は327億9900万円を計上している。  百貨店や協会は、「百貨店全国共通商品券」の利用促進として、百貨店以外にも系列企業のデパートやスーパー、商業施設で利用できるように対象先を拡大してきた。  「商品券」は手数料以外では利用されて初めて対価を得る。だが、対象を広げるとグループ外の売上流出を懸念する百貨店関係者も多いという。顧客が買いたい物を買えないことも、利用が進まない背景にある。

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