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覆面アーティストのバンクシーは今何を思うのか、大規模コレクター展をリポート。

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VOGUE JAPAN

既存のシステムを変革を促す新型コロナウイルスに、人種差別に対する抗議デモ──世界は確実に変わり始めている。常に社会問題に反応し、独自の視点を提示してきた覆面アーティスト、バンクシーも率直な声を上げた。そしてタイムリーにも大規模コレクター展『バンクシー展 天才か反逆者か』が、緊急事態宣言解除を受けて再開。バンクシーの多面的な活動を集めたこの展示を、アートライターの住吉智恵がリポートする。

覆面作家が、作品とともに残した言葉。

白人警察官が黒人男性を拘束し命を奪った事件を発端に始まった抗議活動は、瞬く間に全米に広がり、世界各都市にまで波及した。 多くのアーティストたちがこの問題について自身のSNSアカウントなどからコメントしているが、バンクシーも6月6日にInstagramに作品を投稿した。 黒い遺影の傍に追悼のキャンドルが捧げられ、その炎は上に掲げられた星条旗を燃やし始めている。驚いたのはバンクシーが画像と共に投下したテキストだった。いつものような皮肉に充ちたニヒルなコメントでなく、正論ともいえるダイレクトなメッセージを投稿したのだ(以下、筆者訳)。 「当初、俺はこの問題について黙って、黒人の声に耳を傾けるべきだと思った。だが、これは彼らの問題でなく、俺自身の問題なのに、それでいいのか? 有色人種は社会のシステムによって蹴つまずく。それは白人によるシステムだ。水道管が壊れ、アパートの低層階の住民が水浸しになっているようなものだ。欠陥のあるシステムが彼らの人生を苦境に陥れているが、それを直すのは彼らの仕事じゃない。彼らには修理できない。なぜなら、彼らは上階の部屋に上がることを許されていないからだ。 これは白人の問題だ。そしてもし白人たちがこの問題を解決しようとしないなら、誰かが上の階に出向いて、ドアを蹴破るほかはない」 英国の港湾都市ブリストルを拠点に、世界中のストリートに諷刺的なグラフィティとエピグラムを残して去り、さらに近年は大がかりなテーマパークやホテル、映画制作など多岐にわたる活動で注目を浴びるアーティスト、バンクシー。 神出鬼没の、いわば覆面の“義賊”として、その正体は明かされていない。匿名性というだけでなく、パーソナリティも謎に包まれてきたバンクシーだが、パンデミックと人種差別問題に世界が激動するいま、強く揺さぶられた作家の人物像もまたおのずと輪郭を帯びてきたのだろうか?

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