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ワーク・シェアリングより先に仕事量の軽減を、英公立校の教員事情

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The Guardian

【記者:Richard Adams】  英国の公立学校の教育現場で、ワーク・シェアリングやフレックスタイムの導入が進んでいないのは、そのような働き方を受容しない文化が背景にある、と述べたダミアン・ハインズ(Damian Hinds)英教育相は正しいのかもしれない。  教育省は、辞めてしまう教員を減らすための手段としてワーク・シェアリングの推進を掲げている。だが、そもそもワーク・シェアリング以前の問題として、仕事量が多すぎることをどうにかしなければならない。  他の公共セクター同様、教員の給与も緊縮政策のせいで、もう何年も最小限の引き上げしか行われていない。この事実も見逃してはならないが、経験豊富なベテランが退職を願い出る唯一最大の理由は、仕事量の多さだという。  全英教育連盟(National Education Union、NEU)の組合員を対象に昨年行われた調査では、学校の要求に合わせるために家で週21時間以上の時間外労働をしている教員は、4割近くに上った。  そのような状況を考慮すると、仕事量を無視して、教員をその職にとどめようとする政策は、どのようなものであろうとも成果を生むことはないだろう。また、現行の公立学校の教育構造自体も話にならない。なぜなら、多くの学校で仕事量が多すぎて、教員は通常の勤務時間外や週末まで仕事をこなさなければならない仕組みになっているからだ。  仮に個人的な事情で、パートタイムで働くことを選んだとしても、夜間の保護者面談や課外活動に加え、夜遅くまでデータ照合や採点をしなければならず、パートタイムであることの利点はなく、ストレスがたまる一方だ。  教員の間に、パートタイムで働きたいという要求が存在することは統計にも表れている。中等教育機関を退職した教員を対象にした教育省の調査によると、再就職時にはパートタイムとなる教員の比率が20%増えている。  また、教員のスケジュールの融通の利かなさも離職の一因となっている。授業中に生徒を放っておくことはできないので、他の職業と異なり、おのずと勤務時間や場所の柔軟性は限られる。だが、一部の仕事については、比較的ワーク・シェアリングに適している可能性もある。例えば、複数の専攻コースや選択科目があるような規模の大きい中等教育機関であれば、同科目の教員を同時に、あるいは時間差で複数配置するという選択肢があり得る。  ハインズ教育相が、ワーク・シェアリングを推進する理由は十分ある。例えば、教員の圧倒的多数は女性で、結婚や出産といった事情でキャリアの中断に直面することも多い。仕事を続ける上で障害となっている仕事量が改善され、ワーク・シェアリングやパートタイム制が拡大すれば、もっと多くの女性教員がキャリアを中断することもなく長く働き続けることができ、校長など管理職に女性が就く機会も増えるだろう。そして、「小学校で4年間教えた男性教員のことを何と呼ぶ?」「教頭」という冗談もなくなるだろう。【翻訳編集:AFPBB News】 「ガーディアン」とは: 1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

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