急増する声優の体調不良 声優事務所代表は「今現在考えられる具体策はない」
体調不良を理由に活動休止を発表する声優が増えている。5月下旬にはスマホゲーム『ウマ娘プリティーダービー』でメジロマックイーン役を務める大西沙織、5月中旬に『弱虫ペダル』で福富寿一役を務める前野智昭の体調不良が報じられた。 【関連写真】メンバー全員で『My Girl』表紙を飾ったAqours【14点】 声優は今では人気職の一つに数えられるが、決してワークライフバランスが重視された仕事と言えないのかもしれない。そこで声優事務所・ディーカラーの代表取締役・平岡照己氏に声優が置かれている労働状況、さらには健康的に声優が働けるようにするための具体策などを聞いた。 * * * まずは声優という仕事について聞く。「アニメやナレーションなどに加えて、最近ではスマホゲームの音声収録も増えています。また、コンサートやイベントなどが本格化しており、アイドル顔負けの活動範囲になったことで、歌やダンスを担うことも多いです」と業務内容の変化を解説。声優の仕事自体は増えており、“食える”人も増えた印象を受けるが、「そうとも言い切れません」とキッパリ。 「仕事自体は増えていますが、仕事のある人により一層仕事が集中している。言うならば、食える人とそうでない人の間の溝がここ10年間で余計に広がりました。実際、いろいろなアニメでキャスティングが被っているケースは散見されますよね」 ちなみに今現在声優がキャラクターに扮して歌ったり踊ったりするケースを頻繁に見かけるが、こういった仕事も一長一短であると語る。 「歌やダンスも担当する役が1本決まると安定した収入になります。歌やダンスのレッスンにもギャラが支払われるため、極端な話、そのプロジェクトが続くようであれば収入に困ることはありません。ただ、そういったプロジェクトは数年間を見据えてスタートしているため、一度始まってしまうとレッスンにガッチリ時間をとられます。他のアニメに出演している余裕がなくなり、いろいろな役に挑戦しようにも声優としてのスキルが伸びておらず、プロジェクト終了後に苦戦する声優は少なくありません」