楽天モバイルの新料金プランは「1GBまで0円」で成り立つのか? 楽天の河野CMOに聞く
ワンプランを維持しつつ、段階制を導入することで、低容量や中容量のユーザーに対する値下げに踏み切った楽天モバイル。同社の「UN-LIMIT VI」は、月額2980円(税別、以下同)でデータ容量が使い放題になる特徴はそのままに、20GB以下は1980円、3GB以下は980円と、一定容量以下の場合、自動的に料金が安くなる仕組みだ。 楽天モバイル新料金プランの内容 さらに、1GB以下の場合は料金は0円になる。MVNOでは、0円でデータ通信できるSIMカードはあったが、自社で回線設備を持つMNOとしては異例。楽天で買い物や旅行の予約などをしているユーザーが、SPUでポイント獲得率を上げるために契約しても、料金はかからない。 一方で、多くのユーザーが1GB以下にとどまってしまうと、楽天モバイルには文字通り1銭もお金が入ってこない。MNOとして新規参入したばかりで、巨額の設備投資が続いていることを考えると、かなり大胆な手を打ったようにも見える。なぜ楽天モバイルは、このような新料金プランを導入したのか。楽天の常務執行役員 CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)を務める河野奈保氏に話を聞いた。
使ってもらえることが重要なので1GB以下は0円に
―― 1GB以下が0円というのは、かなり思い切ったのではないでしょうか。ここに至った理由から、まず教えてください。 河野氏 もともと、楽天モバイルは、業界に風穴を開けるというところからスタートしています。ユーザーに分かりやすい料金であり続けることは、常に念頭に置いています。データを見ると、確かに使う人もいますが、逆にそんなに容量を使っていない方もいます。他社の料金プランも研究しましたが、研究すればするほど、歴史とともにいろいろなことを考え尽くして複数のプランができていることがよく分かりました。ユーザーが、こうしたプランで取り残されてしまうというところからスタートしたのが楽天モバイルなので、ニーズは幅広いのですが、できる限りシンプルなプランでと考えました。 Rakuten MiniやWi-Fi Pocketを0円で提供しているのもそうですが、後発なので、何となく不安というのはまだあると思っています。ですから、使ってもらえることがとても重要です。使ってみようかなと思ってもらえるきっかけが必要になるということです。料金プランもそうで、細かく刻むことも検討はしましたが、分かりやすくするために、1GBは0円にしました。奮発しすぎかもしれませんが、お使いいただければ、今の楽天モバイルの状況を分かってもらえると思っています。 データを見ていてもそうですが、コロナで環境が激変しました。昔は海外に行く月もあれば、移動中でデータ通信が多くなるということもありましたが、家にいることで使い方が大きく変わっています。その環境は、月によっても激変するというのがこの1年でした。人によってデータ容量が違うのではなく、時期や場所、シーンによって違う。こういうところをカバーするにも、ワンプランであることが必要でした。