ケビン・ファイギ、ジェームズ・キャメロンが“映画館での映画体験”への想いも語る。CinemaConで明かされたディズニーラインナップ総まとめ
米国、ラスベガスで行われていた劇場経営者やメディア向けのコンベンションの「CinemaCon 2022」にて、2022年から2023年にかけてのディズニー作品の概要が明らかになった。映画配給部門の担当役員がプレゼンテーションを行い、「ここ数年、エンタテインメントの世界は間違いなく激変しています。しかし、絶対に失われないもの、そしてこれからも変わらないものが、映画の持つ力です」と述べ、2021年にディズニー、ピクサー、マーベル、ルーカスフィルム、そして21世紀スタジオとサーチライト・ピクチャーズが記録したマイルストーンをまとめて紹介した。 【写真を見る】ジェームズ・キャメロンが「さらなる限界に挑戦した」と語る「アバター2」!主演サム・ワーシントンと談笑するメインキング写真 例えば、『ミラベルと魔法だらけの家』(21)はアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞しただけでなく、劇中曲の「秘密のブルーノ」は記録的ヒットになった。同じくアカデミー賞主演女優賞をジェシカ・チャスティンが受賞したサーチライトの『タミー・フェイの瞳』(21)や『ナイトメア・アリー』(公開中)のような作品は、ストーリーテリングの可能性を広げた。マーベル・シネマティック・ユニバースは『ブラック・ウィドウ』(21)、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(21)、『エターナルズ』(公開中)、そしてソニー・ピクチャーズで作られた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(公開中)の記録的ヒットを経て、5月4日(祝・水)公開の『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』へとつながっていく。 ■「スクリーンで観客に観てもらうために映画を作っている」(ケビン・ファイギ) そこでマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギがステージに呼び込まれ、5月6日の北米公開を前に、すでに前売りチケット売上が4200万ドル(約54億5000万円)に達しているという『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』の特別フッテージが上映された。2022年に公開されるMCUの3作品の北米公開日は、『ソー:ラブ&サンダー』が7月8日(日本公開も同日予定)、2018年の『ブラックパンサー』に続きライアン・クーグラーが監督を務める『Black Panther: Wakanda Forever』は11月11日に公開される。 ファイギは、Twizzlers(リコリス味のグミキャンディ)の袋を持ちながら、「私たちは、映画館の大きなスクリーンで、大勢の観客に観てもらうために映画を作っているのです。Twizzlersの袋のカサカサと言う音とこの匂いを嗅ぐと、見知らぬ人たちでいっぱいの巨大な映画館に座って共通の体験をすることがなぜ楽しいのか、それを大いに思い起こさせてくれます。それが、MCU映画のすべてです。どんなに映画製作が大変でも、やがて誰かがお菓子を持って映画館に座り、私たちが取り組んでいるこの映画を楽しんでくれるのだと、いつも思い出させてくれるのです」と、想いの丈を語った。ファイギは、シネマコンのあとすぐに、3年ぶりにマーベル・スタジオのクリエイティブ・チームが一堂に会するクリエイティブ会議に参加する予定だと述べた。会議室には巨大なボードが設置され、そこには今後10年間のMCU映画がリストになっているという。「そして、それらはどれもユニークで特別な作品であり、すべて映画館で上映される映画です」と熱意を込めて語った。 ■ピクサーから『バズ・ライトイヤー』、21世紀スタジオからはクライムドラマが公開 そして、ピクサー作品からは6月17日に北米公開(日本公開は7月1日予定)の『バズ・ライトイヤー』の映画冒頭30分を上映。今作は2020年のパンデミック以降初めて劇場公開されるピクサー作品となる。『トイ・ストーリー』(95)以降、続編4作が作られた人気シリーズのスピンオフで、アンディが大事にしているバズ・ライトイヤーのおもちゃが生まれるきっかけになったオリジナル映画という設定。宇宙基地で惑星調査任務に就くバズ・ライトイヤー(声:クリス・エヴァンス)が、タイムトラベルをする物語で、癒しを提供するネコ型ロボットのソックスも登場する。 21世紀スタジオからは、『世界にひとつのプレイブック』(12)、『アメリカン・ハッスル』(13)のデビッド・O・ラッセル監督の最新作『アムステルダム』(11月4日北米公開)の予告編が到着。今作は、ジョン・デヴィッド・ワシントン、マーゴット・ロビー、クリスチャン・ベイル、テイラー・スウィフト、ゾーイ・サルダナ、ロバート・デ・ニーロ、アニャ・テイラー=ジョイ、クリス・ロックといった豪華出演者がそろうクライムドラマで、ラッセル監督らしいシニカルなユーモアが繰り広げられる。 ■「新しい『アバター』では、限界をさらに押し広げます」(ジェームズ・キャメロン) そして、プレゼンテーションの最後には、『アバター2』こと、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(12月日本公開)の最新予告が公開された。2009年の第1作目から13年、今年12月16日にようやく全米で劇場公開となる。それに先駆け、9月23日にオリジナルの『アバター』のリマスター版の世界公開を予定しているという。そして、これから公開される4本の続編はそれぞれ中心となる家族がいて、やがて大きなサーガとして一つの物語になるのだそうだ。 現在ニュージーランドに滞在し映画の最終仕上げを行っているジェームズ・キャメロンはビデオメッセージで、「この2年間、映画業界は大変な状況でした。私は40年間映画を作り続けていますが、映画ビジネスを脅かすような事態は初めての経験でした。私に課せられた使命は、映画館で必ず観てもらえるようなコンテンツを提供することだと思っています。最初の『アバター』では、大画面の限界に挑戦しました。新しい映画では、その限界をさらに押し広げます。高度ダイナミックレンジ、高度フレームレート、高解像度、そしてより高度なリアリティを再現する3D技術で、さらなる限界に挑戦しています」と、新作に懸ける想いを述べた。 そして、こう付け加える。「しかし、映画とは、技術だけで作られているわけではありません。ゾーイ・サルダナ、サム・ワーシントン、シガーニー・ウィーバー、スティーブン・レグ、そして新キャストのケイト・ウィンスレット、クリフ・カーティスら、新旧の友人たちと共にパンドラを再び探索するのはすばらしい冒険となりました」。この『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の予告編は、シネマコンで初上映された翌週に、劇場のみで上映されるという。また、現地時間9月9日~11日にカリフォルニア州アナハイムで行われるファン向けコンベンション「D23」にて、さらなる最新情報が公開される予定だ。 取材・文/平井伊都子