早期・希望退職を実施する企業が急増、原因はコロナだけ?
コロナ禍の2020年に急増した早期・希望退職制度の実施
新型コロナに明け暮れた2020年が終わり、新しい年2021年を迎えました。感染拡大の第三波真っ只中で迎えた年末年始、皆さんはどのように過ごしているでしょうか。 希望を持って健やかに新年を迎える人がいる一方で、大きな不安を持たざるを得ない人が少なくないのも事実かと察します。特に、何らかの理由で離職したまま新年を迎えた人の胸中は察するに余りあります。 一連のコロナ禍の影響により、離職を余儀なくされている人が数多くいるのはご存知の通りです。離職には様々なケースがありますが、2020年に目立って増加したのが企業による「早期・希望退職」の実施です。 早期・希望退職とは、企業側が示す一定条件(たとえば40歳以上、勤続年数10年超など)に該当する従業員が告知期間内に応募して退職する場合、割増退職金を上乗せして、希望者には再就職支援を実施する制度です。 このうち、再就職支援というのは、再就職コンサルティング会社に紹介し、そこでカウンセリングやトレーニング(面接対応など)を受けるケースがほとんどですが、それだけで再就職が決まる保証はありません。したがって、事実上は、割増退職金のみと考えていいでしょう。
実施社数・人数とも過去3番目の高水準になる可能性
東京商工リサーチが発表した資料によると(以下全て同じ)、12月7日までに上場企業の早期・希望退職者募集が90社に達したようです。募集社数は、リーマンショック直後の2009年(191社)に次ぐ高水準。募集人数は、判明分で1万7,697人を数え、東日本大震災の後遺症が残った2012年以来8年ぶりの高水準になる見込みです。 その後の判明分を含めると、2009年の約23,000人に次ぐ過去3番目の高水準になる可能性が高いと見られます(調査実施以降のみ対象、過去最高は2002年の約39,700人)。 また、これらの数値は、有価証券報告書を提出している上場企業のみが対象ですから、中小・零細などを中心とした非上場企業を含めると、リーマンショック時に匹敵するレベルであることは容易に想像できましょう。