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「普通に医療をやらせてくれよ」の声声声……新型コロナ 医師の心を折る”診療以前”の問題群

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中央公論

堀 成美さん(東京都看護協会危機管理室アドバイザー)インタビュー/聞き手・川端裕人さん(作家)

「わかんないよね新型コロナ」(ニコニコ生放送)に出演し、視聴者の疑問にわかりやすく応える堀さんは、感染症対策のプロフェッショナルだ。コロナ第一波で浮き彫りになった課題を川端裕人さんが訊いた。川端さんはフィールド疫学者が主人公の小説『エピデミック』の著書があるほか、Webナショジオで「 『研究室』に行ってみた。」を連載するなど、サイエンスに詳しい。

テレビ報道の「悪意」

川端》 僕が堀さんに話を伺いたいと思った理由は、コロナをめぐって臨床医はよく取材されるし、専門家会議やクラスター対策班も発信を重視している。でも、ブラックボックスがあって、堀さんご出身のFETP─J(国立感染症研究所〔以下、感染研〕の実地疫学専門家養成コース。Field Epidemio logy Training Program Japan)関係者が何をやっているのか、恐らく実務的にも大変なんでしょうが、本人たちは何も言えない状態だと推測しています。 堀》 そう。前面に出て発言はしていないですね。 川端》 また、感染症看護の専門家で、国立病院の感染症対策専門職だったこともある。複数の語られざる現場に通じ、全体を見渡せる方です。 堀》 つかまれていますね。(笑) 川端》 まず、テレビに出るような人気の専門家の発言をどう見ますか。 堀》 想定の範囲内でしたけれども、医療関係者が国難にあたって何とかしなきゃとなっている時に、ここまで執拗に、悪意を疑ってしまうくらい、嫌な扱われ方でした。私は一度だけテレビ出演しましたが、制作者は「視聴率が取れるんですよ」とか言っている。NHKでも変なBGMをつけたりしていますよね。あれやめてほしい、と関係者にも伝えています。 川端》 過剰な効果音とか。 堀》 そう。一人一人の報道関係者は会うと悪い人たちではないのですが、結果的に患者さんに対する偏見や差別を生むようなことをやっている。  私たちはHIVの感染で苦い経験をして反省したはずなのに。感染症ネタは放っておくと暴走します。 川端》 堀さんは「わかんないよね新型コロナ」というネット上の番組を四月から平日毎日続けていますね。 堀》 これは日本科学未来館と国立国際医療研究センター国際感染症センターのコラボですが、さかのぼるとエボラの時、科学未来館のサイエンスコミュニケーターから一般の人になかなか伝わらないことを伝えたい、と依頼を受けたんです。続いてMERSや性感染症も扱いました。クリスマス・イブに猫耳をかぶって、「聖なる夜に性なるお話を聞きたい、画面の前にいる奇特な皆さん、こんばんは」とか言って(笑)、本当に届けたい層への発信を試みたのです。今回は三月初頭から取り組むべきだったと、出遅れを反省しています。 川端》 先ほど「悪意」という言葉も使われましたが、テレビ報道の問題点はどういうところですか。 堀》 PCR検査が一番いい例です。どうすればいいか、正解はなかったし今でも答えは一つではありません。しかしテレビは犯人探しのような雰囲気を作って怒りや不安を醸成してしまった。 川端》 PCRに関しては、最初は検査数が足りないとテレビは連呼していましたが、次第に陽性率にこだわり始めましたよね。 堀》 批判ネタを次々探していました。