三宅一生との対話から生まれた!ミケーレ・デ・ルッキが六本木で初公開した「6つの家」の秘密とこだわりをインタビュー
それに対してブロンズは生命体ではなく、木材を加工するために人類が見出した金属です。 木は削ったり切ったりマイナスしていく素材、一方のブロンズは溶かしたり鋳造したりプラスしていく造形的な素材だと考えます。木の作品は自分の手で製作しますが、ブロンズは職人とのコラボレーションで完成させていくもの。建築もさまざまな人々との協働でつくられるものなので、ブロンズと似ていますね。 今、すべて木でつくった家を計画中で、その中に大きなロッジアを入れたいと考えています。 窓枠はブロンズでできていて、年内に完成予定です。 【Profile】 ミケーレ・デ・ルッキ Michele De Lucchi 建築家、AMDL CIRCLE 主宰。1951 年イタリア、フェラーラ生まれ。 1970 年代から建築、ラディカルデザインの旗手として活躍している。 世界の一流企業のために家具・工業デザインを手がけるとともに、イタリア国内外で幅広いタイプの建築プロジェクトを実現。 木製模型の彫刻を制作することでフォルムの本質を追求し、建築プロジェクトへのインスピレーションを得ている。
建築家であり、アーティストとしても活躍するミケーレ・デ・ルッキ
現代のイタリアを代表する建築家・デザイナーであり、アーティストとしても活躍するミケーレ・デ・ルッキ。長年、建築家として先鋭的な活動を続けるとともに、20 年以上にわたって手仕事へ情熱を傾け、創作活動を行っています。マテリアルの選択から仕上げにいたるまでいくつもの実験を重ね、新たなフォルムを探求し続けてきました。本展では、彼の創作活動の1つである彫刻「ロッジア」シリーズよりすべて初公開の作品を紹介します。
「間(あわい)の空間」の概念から着想
会場には木製3点、ブロンズ製3点の「ロッジア」=6つの家(セイ カーゼ)と名付けられた彫刻作品が、ヴィクトル・コサコフスキー監督による制作過程の映像とともに展示されます。 会場のある六本木の地名が、かつて存在した6軒の武家屋敷に由来するという一説を知ったデ・ルッキは、「6 つの家」との間に偶然の一致を見出し、本展を「六本木六軒」と名づけました。 デ・ルッキが「ロッジア」の制作で探究したのは、「間(あわい)の空間」の概念。 それは縁側のように家の内と外をつなぐ空間であり、日本がもつ伝統的な建築の概念です。一方、ロッジアとはイタリアの建築意匠の1つであり、外に開かれた涼み廊下のこと。作品「ロッジア」の壁には、日本家屋の仕切りである障子とイタリアロッジアを想わせる要素が編み込まれるなど、日本とイタリアという大きく異なる建築文化のなかに共通点を見出し、融合させることで、新たな作品をつくり出しました。 デ・ルッキにとって「ロッジア」は、「人が生きる空間をイメージするための自由な旅のようなもの」だといいます。 彼の創作への情熱と深淵な世界観に触れられる本展。 パッケージ化された建築の概念から解放され、建築や空間について新たなインスピレーションを得られる場となっています。 「六本木六軒:ミケーレ・デ・ルッキの 6 つの家」(※現在は終了) 会期: 2024年9月20日(金)~10月14 日(月・祝) 開館時間 :10:00 ~ 19:00 休館日:火曜 会場:21_21 DESIGN SITEギャラリー3(東京都港区赤坂9-7-6) 六本木アートナイト特別開館時間:9 月 27 日(金)、28 日(土)10:00 ~22:00 問い合わせ先/21_21 DESIGN SIGHT