三宅一生との対話から生まれた!ミケーレ・デ・ルッキが六本木で初公開した「6つの家」の秘密とこだわりをインタビュー
展覧会「六本木六軒:ミケーレ・デ・ルッキの6つの家」が21_21 DESIGN SITEギャラリー3で開催され、展示に合わせてイタリアから来日したミケーレさん。 【写真集でチェック】イタリアを代表する建築家が語った、三宅一生との対話から生まれた六本木の6つの家 「ロッジア」に込めた想いを伺う機会がありました。
本展のきっかけ、木とブロンズの素材としての魅力
――今回の展覧会が開催されるに至った経緯についてお聞かせいただけますか。 本展は、2018 年に今回の会場でもある21_21 DESIGN SIGHTで三宅一生さんと交わした対話がきっかけとなっています。三宅さんはA-POC(「A Piece of Cloth」一枚の布という意味。 服づくりのプロセスを変えた一体成型という技法を用いて、新たな開発を続けた)を発明し、21_21 DESIGN SIGHTの建物は建築家の安藤忠雄さんがA-POCから発想し、折り紙のようなデザインになっています。この空間からもインスピレーションを受けて、今回の展覧会が実現しました。 ――この作品に込めた想いやテーマについてお伺いしたいです。 ロッジアとは、内と外が混じり合う建築のタイポロジーの1つです。現代の建築は内と外が完全に別れ、閉ざされた人工的な状況だといえるでしょう。パンデミックのときに、非常にそれを感じましたね。自然は対峙するものではなく、共生していくもの。内でも外でもない中間領域のロッジアは自然との新たな共生を模索するものであり、現代の建築のテーマであると考えています。 実は「permanent(永遠の)」と「temporary(仮設的な)」という相反する2つが隠れたテーマにもなっています。私たちは、パンデミックや災害で永遠だと思っていたものが簡単に覆ってしまうことを経験しました。 例えば15、16世紀頃、イタリアがルネサンスの時代だったとき、日本はすでに仮説的なものを付き合うことに慣れており、「すべては変化していく」という思想を持っていました。大きく異なる2つの文化ですが、その2つは強い個性、知性の深さ、世界観、そして人間が果たす役割において補完性があると考えます。この展示を通じてその哲学を伝えたいと思いました。 ――木とブロンズをマテリアルに用いていますが、それぞれの素材の魅力は何ですか。 木とブロンズは、それによって人類が文明を形成し人間性を成長させてきた、最も古く高貴なマテリアルです。特に木は美しく素晴らしい素材だと私は思っています。若い頃の木は柔らかく、動いたりヒビが入ったりしますが、成長するにしたがって堅牢なものになっていく。オーガニックな生命体です。今回は作品だけでなく、それを飾る台座もオーク材を使用しています。作品に合わせてデザインし、イタリアのオフィス家具ブランド、UniForが製作しました。