銀メダル・高木美帆「そんなに速いわけじゃなかった」専門外500メートルで見出した『面白さ』【北京五輪】
◇13日 北京五輪 スピードスケート女子500メートル(北京) 3度目の五輪出場で、この種目は初挑戦の高木美帆(27)=日体大職=は自己ベストの37秒12で2位となり、銀メダルを獲得した。この種目では前回2018年平昌大会の小平奈緒に続く表彰台。今大会1500メートル銀に続く自身2個目のメダルを獲得した。 【写真ギャラリー】日体大の入学式 はかま姿の高木美帆 ◇ 満足いく滑りだったのだろう。ゴールした高木美帆が大きく手を挙げた。低い姿勢からの滑りは最後まで力強く、タイムは500メートルでの自己ベストを更新する37秒12。力強い滑りを見せつけると、リンクサイドのヨハン・デビット・コーチとハイタッチを交わした。長い間待った後、銀メダルが決まった。 その瞬間、飛び上がって喜んだ高木美。1500メートルに続く今大会2個目のメダル。日の丸を手に駆け出す顔には満面の笑みが浮かんだ。 どこまで本気で500メートルのメダルを狙っていたのか分からない。ひそかに自信を持っていたのかもしれない。ほんの1カ月余り前、昨年年末の五輪代表選考会。小平が不在の500メートルで優勝したときにこう語った。 「メダル争いにはもう一段階レベルアップをしないといけない」 今大会は5種目にエントリーした。13日間に最大7レースをこなす過密日程の中、12日の女子団体追い抜き1回戦も含めて既に3レースを終え、4レース目がこの日だった。氷の特徴をつかみ、体の状態が仕上がってきたのは間違いない。世界記録を持ち、自身も周囲も期待した1500メートルは2大会連続で2位と金メダルを逃した悔しさも原動力になった。 「もっと速くなりたいという気持ちをかなえるのに、一番、いい手段だと思っている」。短距離から長距離までを取り組むのは、速くなる近道と考える。昨年12月のW杯カルガリー大会で500メートルBクラスに参戦し、Aクラス9位相当のタイムで1位となった。「そんなに速いわけじゃなかったけど、500メートルの面白さ、こんなところを工夫したらどこまでいけるのか体感したのが大きい」。五輪での500メートルへ挑戦意欲が湧いてきた。 専門外の500メートルで銀メダルを取った。2連覇を狙う15日の女子団体追い抜き、17日の女子1000メートルに向け弾みをつけた。
中日スポーツ