自覚症状がない“脂質異常症” 放置すれば心筋梗塞や脳梗塞の恐れも…すぐ実践できる食事と運動療法を専門医が解説
シリーズ「名医のいる相談室」では、各分野の専門医が病気の予防法や対処法など健康に関する悩みをわかりやすく解説。 【画像】実は「悪玉」コレステロールにも大事な役割が… 今回は糖尿病・代謝・内分泌内科の専門医、岩手医科大学医学部内科学講座の石垣泰教授が、日本で2000万人以上いると言われる脂質異常症について解説。 自覚症状がないため放置されやすく、動脈硬化が進むと心筋梗塞や脳梗塞の恐れも。遺伝や生活習慣で脂質異常症になりやすいのはどんな人なのか、また予防法や治療法など解説する。
脂質異常症とは
脂質異常症は「高脂血症」という言い方もします。脂質とは、コレステロールとトリグリセリドのことをいいます。トリグリセリドは日本語で「中性脂肪」といった方がわかりやすいかもしれません。 コレステロールは、悪玉コレステロールといわれる「LDLコレステロール」と善玉コレステロールといわれる「HDLコレステロール」があります。 悪玉のLDLは高い方が良くないわけですし、善玉のHDLは低いと良くない。そういったバランスも含めて脂質異常症という言い方をしています。
コレステロールと中性脂肪の役割
コレステロールは細胞の膜を作る上でとても重要な働きをしています。 LDLコレステロールの役割は、体の隅々の細胞にコレステロールを運ぶことにあります。これが血管の内側にまでコレステロールを運んで、動脈硬化が進展してしまうので、LDLコレステロールは悪玉コレステロールといわれています。 一方、善玉のHDLコレステロールは、体の組織の余分なコレステロールを引き抜いてまた肝臓に戻す役割をしています。動脈の内側に溜まったコレステロールを引き抜いて、ある意味掃除してくれるので、動脈硬化を予防する善玉コレステロールという言い方をしています。 一方、中性脂肪はエネルギーの貯蔵庫のような枠割りをしています。 食べ過ぎたり飲み過ぎたりすることで血液中の中性脂肪も上がるし、余分なものがお腹の脂肪細胞に蓄えられると、お腹の脂肪がついたなということになります。