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【書評】京都人とイギリス人はどこか似ている? 『さらに不思議なイングリッシュネス』

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婦人公論.jp

◆京都人とイギリス人はどこか似ている? もしもあなたが、生活や仕事の悩みをいっとき忘れ、遠くの人々を眺めて気分転換をしたいなら、この本はうってつけだ。イングリッシュネスとは、いかにもイギリス人的な言動や価値観のこと。日本でよく言われる「京都人には独特の言い回しやマナーがあるから要注意」というようなことが、他国から見たイギリスにもある。 著者はイギリス人女性だが、いわゆる帰国子女。他国の文化のなかで育ったため、イギリス人って変わってる、と感じたのだろう。この本は、著者が人類学者としてイギリス人気質を研究した成果で、本国でベストセラーになった。先行の『イングリッシュネス』と併せて読めばより楽しいが、これ一冊だけでも独立して読める。 たとえばこんなのがイングリッシュネスだ。引っ越しをした人は、その実態が大成功であったとしても、「悪夢を経験した」と嘆くのがルール。不動産屋が悪徳だったとか、運送や改装の業者がひどかったとか。それは遠回しな自慢でもあるが、大邸宅に移るお金持ちの引っ越しにも、きわめて質素な庶民の引っ越しにも同様に起こるトラブルを嘆くことで、みんなの共感を得る方法でもある。裕福さを見せつけてしまうようなことは、最大級のタブーなのだ。 こんなふうに「決して語ってはいけないこと」と「そのかわりとして儀礼的に語るべきこと」が厳密に存在するのがイギリス的社交なのである。行列に並ぶときも、酒を飲むときも、異性を誘うときも、イギリス人はいかにもイギリス人。著者は果敢にも、わざとイングリッシュネスを踏み外して人々の反応を観察したりもする。この本の痛快さと説得力は、そんなところに由来するのかも。 『さらに不思議なイングリッシュネス 英国人のふるまいのルール2』 著◎ケイト・フォックス 訳◎北條文緒、香川由紀子 みすず書房 3600円

渡邊十絲子

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