フィジカル or オンライン…コロナ禍でのパリコレの集客力はどちらが優位か
2021年春夏シーズンがファッション業界にとって比類のないシーズンになるのは間違いなかった。この9月、どこのコレクション開催都市もパンデミックが収束していないなか、デザイナーたちは「通常通りにコレクションを発表するか」「安全にやるとすればどうするのがベストか」などという決断に迫られた。 【写真】2021年春夏パリコレクションのベストルックを一挙公開 ある意味、そんな状況によってファッション業界が従来のキャットウォークショー形式を取らずにどんなことが可能かを探る機会になった。が、パリコレを分析した最新の統計から判断すれば、ショーほど人を惹きつけるパワーを持つものはないというのが答えと言えそうだ。 パリコレで各ブランドがどの程度成功したか、『WWD』に数字をシェアしたデータ分析会社Listen Firstは、キャットウォークショーとデジタルを融合させたブランドが、オンラインだけを選択したブランドより成功したと結論づけている。 「今年のパリコレに対するソーシャルメディアの興味は昨年に比べて格段に減少した一方で、ソーシャルメディアでもっとも成功したのは、プレゼンテーションの規模の縮小を最小限に留めたデザイナーたちでした」とListen Firstのチーフマーケティングオフィサー、トレイシー・デイヴィッドは語る。 「パンデミックがしばらく続くため、従来の壮観なランウェイショーに戻る安全かつクリエイティブな方法を見つけることのできるデザイナーが、今後のファッションイベントではもっともソーシャルメディアで注目を集めることになるでしょう」
同社はまた、デジタルオンリーでもエンゲージメントを高める方法はあるともいう。その中には動画の長さが5分以上あることや、イベントにインフルエンサーを加えることなどが含まれる。 とはいえ、全体としてキャットウォークショーがすぐに何かにとって代わることはないと同社の統計は示唆している。ファッション業界によりサステナブルな仕事の仕方を見つけることについては長年多くの議論がなされてきたが、この9月はコレクション開催4都市すべてでバズや注目度が欠けていたことから、キャットウォークショーほど関心度抜群なものはなく、コロナ後にはほとんどのブランドがショーというフォーマットに戻るだろうということを、2021年春夏シーズンは間違いなく証明した。
Translation: Mitsuko Kanno From Harper's BAZAAR UK