日本でも始まる 米国の桁違いスーパーセール「ブラックフライデー」の威力
米国は17日(現地時間)、最も大切な祝祭日のひとつ「感謝祭」を迎えました。そしてその翌日金曜には「ブラックフライデー」と呼ばれるスーパーセールが始まります。時差の都合で一足早く、その特別な金曜を迎えた日本でも、ことし初めて流通大手イオンが「ブラックフライデー」を銘打ったセールを始めました。年末商戦の起爆剤として、日本の流通業者もあやかりたいと考える本家・米国のブラックフライデーとはどのようなものなのでしょうか?
前日の感謝祭は日本の正月やお盆に近い大切な祝祭日
そもそも、米国の「感謝祭」は、英国から宗教の迫害を逃れ、マサチューセッツ州に渡ってきた清教徒が、厳しい冬の寒さでたくさんの死者を出した翌年、近隣の原住民の助けを得て、トウモロコシなど新大陸の作物で、初めてたくさんの収穫を得たことに感謝したことから始まったといわれる収穫祭です。 例年11月第4木曜日と定められていて、その翌日も祝日扱いにしているところが多いため、週末までのまとまった休みを、家族や親戚で過ごし、七面鳥などのたくさんの食事を囲む風習から、日本のお盆休みや正月に似た雰囲気ともいわれています。感謝祭の朝、この時期に大量消費される運命にある七面鳥から2羽に大統領が恩赦を与えるという、ホワイトハウスの恒例行事も行われます。
午前零時にスタートする“買い物狂想曲”
そして、この感謝祭翌日「ブラックフライデー」と呼ばれる全米最大セールの日を迎えます。この日を境に年間収支が黒字に転じることがその名の理由のひとつと言われていますが、それも納得するような“買い物狂想曲”が全米中で繰り広げられます。 感謝祭当日の閑散とした街の風景から一転、日付が変わった瞬間から、いち早くセール品を手に入れるため、深夜にもかかわらず、大型ショッピングセールの駐車場には長蛇の列が作られます。さらに、少しでも得をするため、日本の消費税にあたる売上税がないニューハンプシャー州やオレゴン州などに、近隣州の住民が詰め掛ける様子も毎年恒例です。 またこの日がクリスマス商戦の始まりと位置づけられています。まだクリスマスまでは1カ月も先ですが、米国では封を開けてしまった商品でも返品が簡単なことや、受け取って気に入らなければ店で違うものに交換できる、値段が入っていない「ギフトレシート」を付けてプレゼントを贈ることが当たり前になっているため、一年で最も安いこの日にクリスマスギフトを買い集める人たちであふれかえることになるからです。