携帯キャリアのポイ活プラン競争が激化 「auマネ活プラン+」の狙い、対抗策を打ち出したドコモの動きに注目
KDDIは、12月3日に新料金プランの「auマネ活プラン+」を導入する。プラン名から分かるように、これは現行の料金プランで2023年10月に導入された「auマネ活プラン」の後継に位置付けられる。同プランで好評を博していたKDDI傘下の金融サービスでの優遇はそのままに、au PAYやau PAY カードといった決済サービスとの連携を強化しているのが特徴だ。 【画像】すかさず対抗策を打ち出したドコモ 旧料金プランでも決済サービスの優遇はあったが、同様の料金プランを導入している他社と比べて還元率が低く、特典が複数に分かれていることから直感的に理解しづらい印象があった。こうした点には、ユーザーからの不満もあったという。auマネ活プラン+では、そんな欠点を解消した。一方で、現行のauマネ活プランと比べても“ゴールドカード推し”が強くなった印象を受ける。ここからは、同社の金融・決済サービスにおける戦略が透けて見える。
金融連動重視から合計4000ポイントを還元する決済連動プランに刷新
auマネ活プラン+は、決済サービスへの還元と容量無制限のデータ通信をセットにした料金プラン。その中身は、ソフトバンクの「ペイトク無制限」やドコモの「eximoポイ活」に近い。最大の特徴は、au PAY ゴールドカードを契約している場合、au PAYの還元率が4.5%、au PAY ゴールドカードのそれが4%上がるところにある。それぞれの上限は1500ポイント。合算すると、毎月最大3000ポイントまで還元される。 現行のauマネ活プランの面影も残っており、決済利用の有無によらず、条件を満たせば自動的に最大1000ポイント還元されるのは、他社の料金プランにない特徴だ。auじぶん銀行の口座保有で300ポイント、au PAY カードの保有で300ポイント、auじぶん銀行を引き落とし口座に設定したau PAY カードでauマネ活プラン+の料金を支払うと400ポイントといった形で、還元が行われる。ここまでを合わせると、総還元額は4000ポイントになり、ソフトバンクのペイトク無制限と並ぶ。 決済連携を強化した分、料金は現状のauマネ活プランよりやや高くなった。各種割引適用前の金額は8778円(税込み、以下同)。固定回線などとのセット割である「auスマートバリュー」が適用されると、ここから1100円が割り引かれる。一方で、「家族割プラス」のカウントにはなるが、料金の割引はない。この点は、現状のauマネ活プランと同じだ。auスマートバリューを適用した際の料金は7678円、還元ポイントを携帯料金に充当したと想定した場合の実質料金は3678円まで下がる。 一方で、auマネ活プランで好評だったという金融連携の特典は継続する。具体的には、auじぶん銀行の円普通預金金利が年0.05%(税引き前)上乗せされる。au PAY ゴールドカードを契約していると、さらに0.05%の追加があり、その他の金利優遇と合わせると、金利は0.41%まで上がる。また、au PAY ゴールドカードだと、auカブコム証券のNISA口座保有で、クレカ積み立てに12カ月間3%のポイント還元を受けられる。 KDDIのパーソナル事業本部 マーケティング本部 副本部長の渡邊和也氏が「ポイントがダブルでたまるので、両方で無駄なく還元を受けられるのが最大の特徴」と語るように、auマネ活プラン+は、コード決済とクレジットカードを両にらみにした決済連動の料金プランだ。これによって、「気軽に少額をコード決済で払うケースと、クレジットカードを使うケースの両方でポイントを得られる」(同)。 還元を受け切るには、au PAYで3万3400円、au PAY ゴールドカードで3万7600円の支払いが必要だが、どちらか一方だけで7万円近い利用が必須となると、そのハードルが上がってしまう。コード決済しか対応していない店舗もあれば、クレジットカードでしか支払えない毎月の引き落としもあるからだ。どちらか一方しか対象になっていない料金プランと比べると、「無理なく4000ポイントたまる」といえそうだ。 決済サービスにおけるKDDIの立ち位置を見ても、au PAYとau PAY(ゴールド)カードの両方で還元するのは、理にかなっている。コード決済を利用できる店舗が多いのはPayPayで、au PAYはそれを追う立場だ。小規模な店舗だと、キャッシュレス決済をPayPayだけに限定しているケースもある。このような状況の中、au PAYだけに還元を限定してしまうと、料金プランの魅力が半減する。その反面、決済をクレジットカードだけに絞ると、少額決済で還元を受けづらくなる可能性がある。