5月の企業倒産は1016件、12年ぶりに1000件超える 前年同月から46.4%増加 ― 全国企業倒産集計2024年5月報
前年からの増加数はリーマン直後に次ぐ2番目の多さ
2024年5月の倒産件数は1016件(前年同月694件、46.4%増)と、25カ月連続で前年同月を上回った。2012年5月(1013件)以来、12年ぶりに1000件を超えた。前年同月より322件多く、増加数はリーマン・ショック直後の2008年9月(337件増)に次ぐ2番目の多さだった。 業種別にみると、全7業種で前年同月を上回った。『サービス業』(前年同月159件→244件、53.5%増)が2009年6月(242件)を超え、2000年以降で最多。『運輸・通信業』では「道路貨物運送」(同13件→45件)が3倍超、2000年以降で過去最多となった。
円安倒産、年後半に大幅増加のおそれ
円安の影響がじわり広がっている。円安に伴う輸入コストの上昇などによる直接、間接の影響を受けた『円安倒産』は2023年度に63件判明し、前年度(52件)を21.2%上回った。5月も今年最多の8件判明し、2022年6月から24カ月連続の発生となっている。 4月末にかけて乱高下を続けた円相場は、5月に入り1ドル=155円前後で推移している。帝国データバンクが5月17日に発表した「円安に関する企業の影響アンケート」によれば、昨今の円安進行で企業のおよそ3社に2社(63.9%)が、利益面でマイナスの影響を受けていることが分かった。また同調査によれば、過半数の企業(50.1%)が「1ドル=110~120円台」を自社にとって適正な為替レートと考えており、1ドル=150円を超える現状とは大きな乖離があり、多くの企業にとって現在の為替相場は大幅な円安水準にある。 一般に、景気の動きに数カ月遅れて動く傾向がある倒産件数の特徴を考えると、価格転嫁が十分に進まない中小企業を中心に、年後半にかけて円安倒産が大幅に増加するおそれがある。
「債権の取立不能・遅延」関連の適時開示に注目
中小企業向けの補助金・助成金の申請支援を手がける「北浜グローバル経営」(大阪、負債28億1000万円)は、5月24日に破産開始決定を受けた。コロナ禍以降は事業再構築補助金の計画策定支援を中心に業容を拡大させていたが、補助金審査の厳格化による案件の進行遅れもあり、資金繰りが急速に悪化し行き詰まった。同社の顧客にとどまらず、再構築補助金の承認遅れの影響を受け、経営難に追い込まれる中小企業が今後出てくるのか注目したい。 多くの地銀が直近決算において融資先の倒産に備える貸倒引当金を積み増したが、リーマン・ショック時に比べると低位にとどまる。なかでも一際目立ったのが、じもとホールディングス傘下のきらやか銀行(山形)の動き。与信関係費用の大幅増加で、過去最大の赤字見通しを発表した4月26日以降、「債権の取立不能・遅延のおそれ」を次々と発表。5月2日には地場スーパーの「郷野目ストア」(負債24億円)が破産開始決定を受けた。きらやか銀行を中心に、金融機関による「債権の取立不能・遅延」関連の適時開示情報から目が離せない。