その“ひと手間”が時短の秘密。医師 兼 料理家・栁川かおりさんの【共働きレシピ】
シンプルな材料なのにおいしい! 食卓がおしゃれ! と定評のある人気料理家・栁川かおりさん。実は栁川さんは現役の医師。さらに2人のお子さんをお持ちで、医師、料理家、妻、母としてフル回転で稼働しています。栁川さんが忙しい“共働き生活”の中で、いかにして美しくおいしい料理を提供し続けているか、その秘密に迫ります。
妻、母、医師、そして料理家!4つの顔を持つ栁川さんの超多忙な毎日
料理家として日々レシピを提案している栁川さんは、現役の医師としての顔も持っています。多忙な勤務医として働きながら、料理の道を究めようと思った理由は、結婚して子どもが産まれたことがきっかけだったといいます。 「独身の頃は勤務医として毎日フルタイムで働いていて、それこそ夜勤や宿直があったりして、自分の食事にすら気を遣う余裕はありませんでした。もともと料理は好きだったのですが、結婚して産休に入り、初めてまとまった休みを取ったことで、改めて料理に向き合う時間ができたんです。そして、長女が生まれて離乳食を作るようになり、やっぱり体にいいものや安全なものを作りたいと思い、食への意識が変わっていきました」 そこから料理の道にどっぷりとハマり、とあるテレビ番組への出演をきっかけに料理家としての道がスタート。その後、長男が産まれ、医師として仕事復帰してからは料理家との二足のわらじ生活が始まりました。 「朝は4時に起きて、子どもたちが起きてくる前にパソコン作業を済ませ、朝ごはん・お弁当作りをして、朝8時前には出勤します。病院勤務を終えたら、子どもたちの送り迎えと夕食の準備。夕食後から就寝までの間に家の片付けや料理写真の整理などをする、というバタバタの毎日です」 そんな超多忙な栁川さんが、いかにして毎日美しい料理を提供し続けているのか――その秘密は、十数年におよぶ共働き生活の中でたどり着いた、“ちょっとしたひと手間”にありました。
十数年、主婦をやってきた結論!その数十秒の“ひと手間”が料理をおいしく簡単にする
豚の生姜焼きに鶏の唐揚げ、ポテトサラダなど、栁川さんの料理の基本はシンプルな定番料理。でも、豚の生姜焼きは豚肉に薄力粉をふることでお肉をジューシーにしたり、鶏の唐揚げにはほんの少量の鶏がらスープの素を隠し味にしていたり、ポテトサラダは具材と和える前にじゃがいもを粉ふき芋状態にして調味料で下味をつけたり……と、すべての料理に“ちょっとしたひと手間”が加えられています。 「え、忙しくて、そんな面倒なことできないよ」と思われるかもしれませんが、実はこの “ちょっとしたひと手間”が栁川さんの「共働きごはん」の最大のポイント! “ひと手間”というと時間がかかって面倒、と思われがちですが、実はその数十秒をかけることで、そのあとの作業が楽になり、さらに、その“ひと手間”がぼんやりした定番料理の味をぐっと格上げしてしてくれるのです。 「私が作る料理は『普通の家庭料理』です。そして、私がおいしいと感じるのは、肉や魚、野菜の本来の味が際立つ『シンプルな料理』。そうした『シンプルでおいしい普通の家庭料理』のためにもっとも重要なのは、実は下ごしらえなんです。 たとえば、私はその後の調理法によって、下茹でに使う塩の量を変えます。そのまま食べる場合はお湯1リットルに対して小さじ2(10g)程度。その後に味付けをする場合はその半分にする、といった感じです。とはいえ、そんなにきっちりしなくても大丈夫。 ですが、そのほんの少しの塩加減で本当にガラッと味が変わるんです。そして、こういったちょっとした“ひと手間”が、結果的にそのあとの調理をぐっと楽にしてくれることに気づいたんです」 十数年にわたる共働き生活の中で、試行錯誤しながら身につけたちょっとした“ひと手間”は、「おいしさ」を引き出し、同時に「時短」もかなえてくれます。忙しい毎日の中で継続しておいしい料理を作り続けるためには、やはり「簡単」であることが重要。 そんな栁川さんの“ひと手間”が加えられた簡単&絶品レシピ2品を、2021年12月に刊行されたレシピブック『いつものおかずがぐっとこなれる 簡単ひと手間 共働きごはん』から、特別にご紹介。