高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 兵庫・斎藤元彦知事が辞任しないのは「元総務官僚」だから...後任「脱官僚」なら石丸伸二氏?
兵庫県の斎藤元彦知事をめぐっては、知事のパワハラやおねだり体質などが告発され、県職員など複数の県関係者が亡くなっている。 【画像】「脱官僚」なら石丸伸二氏?? これだけの事実からわかるのは、斎藤知事は一部の県職員から相当に嫌われていたのだろう。そして、複数関係者が亡くなっていることから、告発内容は相当な真実であろうと思いがちだ。嫌いな上司を告発するのはわかるとして、嫌いな人がのうのうと生きていながら、自分が死ぬのはあまりに不合理だから、余程のことだろうと一般の人は思う。 ■初手のミス、知事はミスとは思っていない ただ、県議会の調査特別委員会(百条委員会)を聞いていても、パワハラやおねだりは県職員へのアンケートに基づくもので、客観的・決定的といえるものは乏しい。知事は、怪文書に屈しなかった快挙と思っているはずだ。漏れ聞くところによれば、知事は天下りに厳しく対処して職員に恨まれ怪文書を撒かれたが、毅然と対処したので、悪いところはないという。 ここで浮かび上がるのは、公益通報に対する知事側の初手のミスだ。知事は、告発文を見たとき、悪質な怪文書と受け取った。だから職員のパソコンを調べて懲戒処分した。第三者に委ねるべきところをしなかったというミスだ。もっとも、知事はそれをミスと思っていない。 こうした事情を筆者なりにみると、知事が元総務官僚だからと思う。筆者の関与した事例は、ふるさと納税だ。これは税収が減り、その使い道を国民(寄付者)が選択できるので、税金差配する官僚を中抜きにするものだ。当然中抜きにされる総務官僚は猛反対だった。当初は、返礼品に関する規制はなく、返礼品支出は財政支出なので、総務省が規制するのではなく、各自治体の責任と判断で行うという仕切りだった。ところが、総務省はわざわざ法改正して規制権限を手に入れた。しかし、その後、その規制権限をめぐる訴訟では、最高裁で国が敗訴している。それでもいまだに規制を続けている。