株式、通貨、商品など世界市場を動揺させたトランプの関税計画…「世界の終わりではないが…」専門家の評価は?(海外)
世界の株式
アメリカの株式市場はあまり反応しながったが、世界の株式市場は動揺した。 メキシコとカナダの株式市場は11月26日の取引で下落した。iShares MSCI Mexico ETFは最大3%も下落し、iShares MSCI Canada ETFは約1%下落した。 ヨーロッパでは、Stoxx 600指数が0.5%落ち、日本のベンチマークとなる日経平均株価は1%近く下がり、韓国のKOSPIは0.6%落ちた。 だが、中国の株式市場はわずか0.5%の下落にとどまった。メキシコとカナダの製品に対して関税を課すトランプの計画は投資家を驚かせたが、中国に対する関税の脅威については市場がすでに織り込んでいると専門家は述べている。Truth Socialでのトランプの投稿は明確ではなく、追加関税を10%上回るとほのめかすだけだった。トランプは選挙で、中国からの輸入品に60%の関税を課すと述べてきた。 アメリカと海外の株式市場で、近年メキシコに生産拠点を移した多くの自動車メーカーが株価を落とした。 ウォルクスワーゲン(Volkswagen)の株価は2%、日産は6%、ステランティス(Stellantis)は4.6%の下落となった。アメリカでは、フォード(Ford)が2%、GMはほぼ7%下落した。
コモディティ
このニュースを受けてカナダの原油価格は下落した。 原油はカナダからアメリカへの主要な輸出品目で、2023年にアメリカは971億ドル相当の原油を輸入した。アメリカの制裁により他国からの輸入が制限されている中、カナダのオイルサンドから採掘される重質原油は、アメリカのメキシコ湾岸の製油所にとって重要な原油供給源となっている。 ウェスタン・カナディアン・セレクト(Western Canadian Select)の原油は11月26日、4%近く下がり、1バレルあたり57.04ドルとなった。
驚異に対する評価
キャピタルエコノミクス(Capital Economics)は、トランプの新しい関税の脅威は、交渉のツールでしかないと述べた。 エコノミストのスティーブン・ブラウン(Stephen Brown)は26日のノートで、「関税は麻薬密売と違法入国をあぶりだすためのもの」で、ターゲットとなった国はそれを阻止できる可能性があると話した。 「メキシコが2019年にトランプからの脅威を食い止めたように、麻薬供給を減らし、国境を守る行動を起こすなど、信頼できる計画を示すことで、各国はこれらの脅威を避けることが可能だ」 最終的には「報復の脅しではなく、協力の誓約」をもってトランプ大統領と協力することが各国にとって最善の策だと彼は付け加えた。 カナダのジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相は、この戦略を採っているようで、関税のニュースがあった後にトランプと「良い電話会談ができた」と11月26日に同国の国会議事堂で話した。 「我々は明らかに事実を明らかにし、両国間の強力かつ効果的なつながりがどのように行き来しているかについて話し合った」と、トルドー首相は語った。 市場の評論家は、アメリカ最大の貿易相手国に対して広範囲にわたる関税を課せば、インフレの反動が起こる可能性が高いことから、これはトランプの交渉戦術である可能性が高いと述べた。 アスピラント(Aspiriant)のマネージングディレクターであるデーブ・グレチェク(Dave Grecsek)は、提案された関税による一時的な影響は、2025年のインフレ率を0.5~1%上げる可能性があるとBusiness Insiderに語った。 関税計画を受けて金利は若干上昇し、10年国債は4ベーシスポイント上昇となる4.32%となった。 「世界の終わりではないが、時価総額がすでにコロナ前より20%から30%上がっている状況では、歓迎される展開ではない」と、グレチェクは述べた。
Matthew Fox