電気自動車普及のカギとなる、「廃棄バッテリー」リサイクル アマゾン、パナソニックらが取り組む「環境にいい」車づくり
テスラの元CTOによる電池リサイクル事業
廃棄バッテリーの問題を見据え、2017年から取り組みを進めているのが、「Redwood Materials(レッドウッド・マテリアルズ)」。テスラの共同創業者の1人、J.B.ストローベル氏が立ち上げたスタートアップ企業だ。 2019年まで16年間テスラでCTOを務めたストローベル氏は、誰よりもEVのバッテリー問題を深刻に受け止めている一人だろう。彼によれば、この問題は逆に「大きなチャンス」。EVのためのサーキュラー・サプライチェーンを構築できれば、それは産業に大きなインパクトを与えるとして、自ら問題解決に立ちあがった。 レッドウッド・マテリアルズ(以下、レッドウッド)の拠点は、ネバダ州カールソンシティ。ここでは、近くにあるパナソニックのテスラ用バッテリー工場から出た廃棄物のほか、スマホ、ラップトップコンピュータ、パワーバンク、電動自転車、電動スクーターなどで使用されたバッテリーを処理している。米メディア「CNBC」によれば、ここで処理される電子廃棄物は年間2万トン。レッドウッドは昨年、アマゾンとも提携し、同社から出た廃棄バッテリーの処分にも当たっている。 回収された廃棄バッテリーは燃焼し、内容物を溶かした後、液体に浸して特定の物質を浸出。これによりニッケル、コバルト、アルミニウム、グラファイトの95~98%、そしてリチウムは80%以上が回収されるという。そして、これらの物質はパナソニックをはじめとするパートナー企業に売却され、新しいバッテリーに生まれ変わることになる。 同社は昨年、サステナブル事業への投資会社「Capricorn Investment Group」と「Breakthrough Energy Ventures(BEV)」から4000万ドル(41億5000万円)を調達した。BEVはジェフ・ベゾス氏やビル・ゲイツ氏も出資しているエネルギー関連のベンチャーキャピタルだ。現在はカーソンシティ工場の処理能力を拡大しているという。