ロイヤルファミリーが亡くなった時に使われる秘密の「コードネーム」
英ロイヤルファミリーの高位メンバーのように非常に有名で超重要人物であることの苦労のひとつは、おそらく生前に葬儀の準備をしておかなくてはならないことだ。エリザベス女王と王室のスタッフは1960年代から女王の葬儀の計画を立てており、年に数回、会議を開いて計画を改良したりリハーサルを行ったりしている。 【写真】私たちの予想を超える多くのルールが存在! 英国王室が従わなければならない絶対ルール50 不吉に思うかもしれないが、すべては複雑なことが滞りなく運ぶようにするためなのだ。女王ほどの重要人物が崩御したとあれば会葬者も驚くほどの数にのぼる。 また葬儀は女王の功績を讃える大仕事として、政府と英国国教会、英国軍、ロンドン市警、ロイヤルパークス、ロンドン市内の全23区、ロンドン市役所、ロンドン交通局、メディアなどから成るチームによって完璧に執り行われるグローバルイベントになるからだ。
女王が崩御すると、秘書官(すべての関係政府や組織に正式に知らせる連絡網の最初の人物)は、単に首相に「エリザベス女王がお亡くなりになりました」と言えばいいわけではない。暗号コードを使わなくてはならず、葬儀計画は「オペレーション・ロンドン・ブリッジ」で、女王崩御は「ロンドン・ブリッジが落ちた」とリレーされていく。 『ザ・クラウン』シーズン4の視聴者は、王室高位メンバーのこうした慣習を垣間見たはず。 チャールズ皇太子がスキー旅行先で雪崩に遭い、死亡したのではと思われたため死後のコードネームが「オペレーション・メナイ・ブリッジ」(ウェールズにある吊り橋から取った名前)と決定されたシーンだ。
この出来事は実際にあった悲劇的事故を元に描かれている。1988年、チャールズ皇太子とダイアナ妃、セーラ・ファーガソン(当時はアンドリュー王子の妻でヨーク公爵夫人)が友人グループとスイスのクロスタースにスキーホリデーに出かけた。 3月10日、チャールズ皇太子は熟練のスキーヤー向きで一般人は入れないもっとも傾斜のきついゲレンデがあるゴートシュナ山に、ヒュー・リンゼイ少佐やパトリシア・パーマー=トムキンソン夫妻などのグループと、スイス人ガイドと警察官を伴って一緒にいた。(ダイアナ妃とヨーク公爵夫人は当時、ダボスのシャレーにいた)。 そして雪崩が発生した。チャールズ皇太子は転がり落ちる大量の雪を逃れることができたが、リンゼイ少佐とパトリシア・パーマー=トムキンソンは雪に埋もれてしまった。パーマー=トムキンソンは脚の怪我ですんだが、リンゼイ少佐は死亡した。 彼は女王の元厩舎長で、1年前に結婚したばかりの妊娠中の妻が遺された。地元紙は彼をゲレンデから運ぶヘリコプターの中でチャールズ皇太子は泣いていたと報じていた。