安倍・菅政権時の蜜月から一転!自民党「日本維新の会を痛烈批判」の裏にある謀略
目前に迫る参院選をにらみ、自民と日本維新の会(維新)の批判合戦が過熱している。安倍晋三・菅義偉両政権では蜜月だった両党関係が岸田文雄政権で一変した背景には、参院選後をにらんだ自民党内の権力闘争が絡んでいるとの見方も広がる。 安倍・菅政権時代の維新は、創業者で元代表の橋下徹元大阪府知事・市長が安倍氏と、松井一郎代表(大阪市長)が菅氏とそれぞれ太いパイプを持ち、政界では「実質的な与党」(閣僚経験者)との位置づけだった。
しかし、岸田政権では中枢の岸田首相、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長の3実力者が、いずれも「維新を敵視する立場」(自民幹部)だ。このため、維新側も反自民・野党の立場を鮮明にせざるをえず、それが今回の批判合戦にもつながったとみられる。 ■維新内の亀裂拡大も狙う そもそも維新の政治理念は、安倍氏ら自民党内の保守派(タカ派)と極めて近く、前回衆院選でも「保守派有権者の票の取り込み」が大躍進の要因だった。ただ、全国政党への脱皮には「超タカ派」との印象が大きな障害になっているのは間違いない。
このため、維新内部ではタカ派の象徴ともみられている橋下氏との関係を絶つ動きも浮上。その一方で、自民は橋下氏の存在をことさら維新と結びつけることで、同党内の亀裂拡大を狙っている。 しかも、橋下氏や維新への攻撃は、自民党内反主流の旗頭とされる菅氏や、菅氏とのパイプを堅持する安倍氏への強い牽制にもなる。だからこそ、茂木氏があえて維新の金城湯池の大阪で維新批判をしたとみられ、野党分断への思惑も絡み、当分は両党の神経戦が続きそうだ。
批判合戦の発端は、茂木幹事長が大型連休最終日の5月8日、大阪市内での街頭演説で、「身内に甘い政党だ」「もう勢いがない」などと声高に維新攻撃を展開したことだ。 茂木氏はウクライナ危機での橋下氏の言動などを念頭に「維新の創設者はロシア寄りの発言を繰り返している。維新の国会議員は間違っていると言うべきだが、身内に何も言えない」と痛烈に批判した。 これに対し松井・維新代表は翌9日、「橋下氏は民間人だ。与党の幹事長が言論弾圧しろというのか。薄っぺらい幹事長だ」と応戦。ただ、茂木氏の維新は勢いがないとの指摘は、弱点を突く要素でもあった。維新にとって橋下氏の一連の言動が、「党勢拡大へのネックとなりはじめている」(自民幹部)のは否定できないからだ。