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「場」の価値が揺らぐ。軍地彩弓が見出す、コロナ禍における「D2C」の可能性

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Forbes JAPAN

新型コロナウイルスの感染拡大による実店舗での売上減を受け、アパレル企業はよりデジタルシフトを強化し、その危機を乗り切ろうとしている。その流れを追い風にしているのが新興のD2Cブランドだ。D2CブランドはこれまでのECと異なる大きな特徴があるという。ファッションエディターの軍地彩弓がD2Cの可能性と、いま企業が取るべき戦略を提示する。 D2Cはアップデートしつづける「顧客共創型」ビジネス 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外出自粛を求める呼びかけが広がるなか、ファッション業界では、EC売上が大きく伸長しています。3月の実績を見てみると、ユナイテッドアローズの実店舗売上は前年比の約61%だったのに対し、EC売上は前年比の約124%。オンワード樫山は実店舗売上が前年比約70%で、EC売上は前年比約145%と、いずれも実店舗の落ち込みをかろうじてECでカバーする形になっています。 これまで、大手アパレルメーカーはECを導入しながらも、あくまで店舗の補完的な位置付けに留めていたように見受けられました。それが今回の新型コロナの影響で、図らずも大きくEC比率を高めることとなり、結果的にデジタルシフトを積極的に進めざるを得ない状況となってきたのです。 改めて見直すべきなのは、ECが単に「店頭で売っているものがオンラインでも買える」だけにとどまっていないか、ということ。デジタル戦略を考えるうえで大いに参考になるのが、日本でも台頭してきた「D2C」ブランドです。 昨年あたりからD2C──「Direct to Consumer」は、半ばバズワードのように流通小売業界やマーケティング業界でよく聞かれるようになってきました。「D2Cって結局、直販モデルのことでしょう?」という見方をする人もいますが、それは大きな間違いです。 D2Cの大きな特徴は、顧客とオンラインによる密接なコミュニケーションを行い、プロダクトに対するフィードバックを得ることで、商品をアップデートすることができる「顧客共創型」のビジネスモデルだということです。 たとえば、日本のアパレルブランド「ALL YOURS」は、シンプルなデザインで着心地が良く、「3時間でも乾く」「雨や汚れを弾く」「世界一ストレスフリー」など機能性を明確にした商品づくりを行っています。 彼らは大手衣料品チェーンで働いていた経験から、毎シーズン新商品を発売しながら「まだ着られるのに買い替えを促す」ファッション業界の構造に疑問を持ち、トレンドにかかわらず長く着られ、洗濯や手入れのしやすい顧客視点の服を開発。2017年からは24カ月でクラウドファンディングによる新商品開発を実施し、総額5000万円以上を集めました。 1つの商品がどのような背景から生まれ、どんな機能を持ち、どんな着回しができるのか。公式サイトやプロジェクトページで熱くストーリーを語り、SNSで発信していく。ある種の「熱量」が消費者に伝わることで、熱狂的なファンを生み出しています。

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