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「商標パクった」中国企業との7年戦争 フルタ製菓、アウェーの法廷で大逆転勝訴

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弁護士ドットコム

「セコイヤチョコレート」や「チョコエッグ」などで知られるフルタ製菓はこのほど、中国企業による冒認(抜け駆け)商標登録の取り消しを求めた裁判で、中国の最高人民法院(日本の最高裁判所に相当)で勝訴したことを発表した。 【写真】元ヤクザのうどん、福岡名物になる 中国の食品メーカー「旺通食品有限公司(旺通公司)」が、フルタ製菓の社名ロゴ「Furuta」とそっくりの商標を出願、登録していた。 フルタ製菓は、2012年10月に係争を開始。下級審の判決などではいずれも敗れていたが、最高人民法院で逆転勝訴した。 中国では日本の地名や日本企業の商標、地域ブランド等が第三者によって出願・登録される事例が相次いでいる。登録されると日本企業の現地でのビジネスに支障が生じるおそれがあり、過去には、「岡山」が中国で商標登録され、岡山県が無効請求した例もある。 逆転勝訴に至るまでの経緯はどのようなものだったのか。フルタ製菓に話を聞いた。 ●中国企業と下交渉「5億で売却案」も消滅 フルタ製菓は、チョコレートを中心とする大阪の製菓会社。日本国内での売り上げがメインだが、2011年に上海に販売拠点を作り、中国でも商品を展開している。そんな中、商標「Furuta」がすでに中国企業によって登録されていたことが問題になった。 この商標「Furuta」は、旺通公司が2005年2月に登録出願し、2007年10月に登録を許可されたものだ。そのまま放置しては、フルタ製菓の商品を中国で広める上で、商標権侵害の懸念がつきまとうことになりかねない。 そこで、フルタ製菓は、「係争開始前の2012年4月、現地の代理人が旺通公司の担当者と面会し、交渉を開始した」という。 しかし、旺通公司がフルタ製菓の提示した商標の買取り条件を拒否。その後も「譲渡(買取)であれば400万米ドル(当時約4億8800万円)」などの話が出たようだが、具体的には進展せず、交渉は自然消滅したという。 ●下級審ではまったく主張が認められず 交渉で解決されなければ、司法の判断をあおぐしかない。 フルタ製菓は、裁判で「抜け駆け登録」や「先行商号権の侵害」等を理由に商標登録の取り消しなどを主張した。 しかし、日本の下級裁判所にあたる中級人民法院・高級人民法院では認められなかった。 フルタ製菓の「Furuta」商標や商号「Furuta」が一定の影響力や知名度を有しているとはいえないとされたためだ。 ●最高人民法院で逆転勝訴、決め手は「新証拠」 ところが、日本の最高裁判所にあたる最高人民法院は一転、フルタ製菓の主張を認め、2019年9月に国家知識産権局に対し新たな審決を出すよう命じる判決を下した。 逆転へとつながった主な理由として、最高人民法院に提出した「新証拠」が挙げられる。 これにより、旺通公司が登録出願した2005年2月以前から、フルタ製菓が中国で開催された商品展示会などに参加したり、中国の新聞などに広告を掲載していたことが新たな事実として認められた。 最高人民法院で争われる段階になって新証拠を提出したのは、フルタ製菓によれば、「出し惜しんでいたというわけではなく、中国国内に存在する過去の資料等から自社の活動を示すものを探し当てるのに時間がかかったため」だという。 その結果、最高人民法院は、フルタ製菓が係争商標の出願日の前に既に「Furuta」商標や商号「Furuta」を使用し、中国で一定の影響力や知名度を有していたと認定。旺通公司の「抜け駆け登録」や「先行商号権の侵害」も認め、逆転勝訴となった。 係争開始から最高人民法院の判決まで約7年。最高人民法院に対しても新証拠を提出するなど、訴訟を諦めない姿勢が功を奏したといえるかもしれない。 判決を受けて、新たにフルタ製菓名義による「Furuta」商標が2020年3月24日付で登録されたという。 フルタ製菓は、「今後は中国市場での積極的な販売および宣伝活動を進め、安心・安全な菓子を中国の消費者の皆様へお届けする」としている。

弁護士ドットコムニュース編集部

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