市和歌山の虎、主将・松川が聖地に刻んだ爪痕 選抜高校野球
第93回選抜高校野球大会は第7日の26日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で2回戦が行われ、市和歌山は1―2で明豊(大分)に敗れた。3番で主将の松川虎生(こう)捕手(3年)は2安打1四球1打点と活躍したが、8強入りはならなかった。 【市和歌山vs明豊の熱戦を写真特集で】 プロ野球の阪神がリーグ優勝を果たした2003年生まれ。祖父が阪神ファンだったことから名前に「虎」の文字が入る主将が、聖地・甲子園で一時同点とする適時打を放った。 1点を追う六回2死二塁の場面。「甘く入ってきた球を打ち返すと思って打席に入った」。四回に右越え二塁打を放って気をよくしており、高めに浮いた初球から積極的に打って出た。左足を高く上げた打撃フォームからしっかりと引きつけて球足の速い打球を中前にはじき返した。 大阪・PL学園の投手として夏の甲子園で2度優勝した桑田真澄さんと中学時代にテレビ番組で対戦した。そこでヒットを放ったことは「自慢になる」と誇りにしている。 半田監督から入学直後の早い時期から最上級生になったら主将に就くよう打診を受けたほど信頼は厚い。期待に応え、高校通算30本塁打を超える強打者に成長した。マスクをかぶっても中学時代からバッテリーを組む最速152キロ右腕の小園の持ち味を存分に引き出すなど攻守両面でチームを引っ張ってきた。 中軸を任され、1回戦の県岐阜商戦に続いて2安打を放ったが、チームは2試合とも1得点とつながりを欠いた。初戦は小園が完封し、1―0でサヨナラ勝ちしたが、この試合は救援に回った小園が七回に決勝打を浴びた。捕手としてその場面で、狙われていたスライダーを選択したことを悔やむ。「この春は(小園)健太ばかりに頼っていた。夏に向けて野手陣が頑張っていきたい」。苦い敗戦から夏への課題を明確にしていた。【藤田健志】 ◇全31試合を動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」では、大会期間中、全31試合を中継します(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2021)。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。