【571psにガルウイング】メルセデス・ベンツSLS AMG 英国版中古車ガイド 価格は上昇中
571psを叩き出す6.2L V8エンジン
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ) translation:KENJI Nakajima(中嶋健治) メルセデス・ベンツのパフォーマンス部門、AMGの実力は高く、ハイパワーが大好き。最新AMG GTのブラックシリーズには、マクラーレン720SよりパワフルなV8エンジンが積まれている。 【写真】メルセデス・ベンツSLS AMG SLRマクラーレン、最新AMG GTと比較 (101枚) 小さなハッチバック、A 45の4気筒ターボは量産ユニットのなかで最強。まもなく登場するハイパーカーのワンは、2016年に優勝したF1マシンの、ナンバー付きモデルと呼べる内容となる見込み。 しかし、メルセデス・ベンツSLS AMGが登場したのは2010年。AMGの可能性は、まだ未知だった頃のクルマだ。 AMGはメルセデス・ベンツのチューナーとして名を馳せていたが、吸収後は、マクラーレンと協働でスーパーカーのSLRを開発。1954年に誕生したレジェント、300SL「ガルウイング」を現代によみがえらせた。 そのSLRのあとを継いで開発されたのが、ロングノーズのSLSとなる。より量産モデルへシフトしたSLSは、AMGのブランド力を一気に高めた。ビートルズにとっての初アルバム、プリーズ・プリーズ・ミーのように。 世界最速を誇ったかつてのロードカーの存在を利用し、アッファルターバッハが派手なクルマを生み出した、と見る人もいた。だが571psを叩き出す6.2LのV8エンジンは、どんな野次も黙らせるだけの凄まじさを備えていた。 ベースはC63に搭載されていたユニットだったが、大幅に改良されている。AMGが、M159という別のコードを与えるほど。 0-100km/h加速はわずかに3.9秒で、最高速度は315km/h。フェラーリ458やランボルギーニ・ガヤルド、マクラーレンMP4-12Cへ対抗するのに不足ない性能だった。今でも、その興奮度は低くない。
クラシックとして価格は上昇傾向
低速域での乗り心地は、相当に硬い。だが、正確なハンドリングや驚くほどクイックなステアリング反応、優れたボディ剛性は、自動車評論家を強く唸らせた。 さらに強力なSLSとして、2012年にGTが登場。20psを上乗せし、滑らかなトランスミッションと引き締められたサスペンションを獲得。ホイールのデザインも新しく、専用のインテリア・オプションも用意された。 特に、キルティング加工されたレザー内装は注目を集めた。今でも、SLSの価値を高めるアイテムになっている。 2013年には、SLSブラックシリーズが登場。630psの最高出力と専用のボディキットで武装した、極めて珍しいSLSだ。現在の取引価格は、仮に出てきたとしても60万ポンド(8400万円)に迫る。多くの人にとって、圏外といえる価格だろう。 といっても、すべてのSLSは堅調に価格が推移している。最新のモデルと並んでも引けを取らない動的性能を備え、真剣に資金投資を考えても悪くないモデルだといえる。 SLSの中古車で一番安価に流通しているのが、初期のクーペ。コンバーチブルも、ガルウイング・ドアでないために価格が伸びにくい。 とはいえ、6年前には10万ポンドくらいが上限だったにも関わらず、今ははるかに上回っている。資金と手段があるのなら、早めに行動へ移した方が良いかもしれない。