AI技術を基盤とするスタートアップが注目
新人アイドルグループの「エタニティ( Eternity )」は昨年の3月にデビューした。ピンクのテニススカートを着て踊る彼女らのMVはその他のアイドルグループとさほど変わらない。デビュー5ヶ月ぶりにリリースされたメンバー「ダイン」の「ノーフィルター」MVはYouTubeで再生回数200万回を超えた。グループのメンバーが全員AIヒューマンであることを肉眼で把握するのはかなり難しい。AIスタートアップ企業の「パールズ・ナイン( Pulse9 )」が企画した野心作である。 パク・ジウン「パールズ・ナイン」代表は近年オンラインで開かれた「第6回AIスタートアップ・ラウンドテーブル」で「ディープリアル( Deep Real )技術を高度化し、本物より本物に見えるバーチャル・セレブリティー(有名人・インフルエンサー)を開発していく」と述べた。「AIスタートアップ・ラウンドテーブル」は将来性があるAIスタートアップ企業とベンチャー・キャピタル(VC)を繋げるイベントだ。AI未来フォーラム(AIFF)とVCである「キャプストン・パートナーズ」が主催し、韓国経済新聞社が後援する。この日のイベントでは、「パールズ・ナイン」を含め、「ウェイン・ヒールズ・ベンチャーズ( Waynehills Ventures」、「ニューロゼン( Neurozen )」などのスタートアップ企業3社が投資者を対象に自社の技術を披露した。 ○AIヒューマンの値段が急増 AIヒューマンは金融、メディア、エンタメ、選挙など。業種と分野を超えて活躍している。「パールズ・ナイン」がとっている革新戦略は「ハイエンド・スター」作りだ。パク代表は「プリミアムAIヒューマン知識財産権(IP)を製作し、貸し出しできるようにするのが主なビジネスモデル」とし、「『エタニティ』のような成功事例を構築しようとするエンタメ企業やブランドモデルを育てようとする企業などから問い合わせが相次いでいる」と述べた。 「エタニティ」は昨年「AI胸キュンチャレンジ101」を通じて誕生した仮想のグループだ。101人のAIヒューマンのうち、参加者投票から選ばれた11人がデビューした。「エタニティ&パールズ・ナイン」の「ディープリアルAI」技術が適用された。過去20年間の韓国国内のポップスターたちのトレンドやスタイルを学習させ、ディープラーニングを通じて可愛さ・セクシー・清純さ・知的などの4つの特徴的なイメージを取り入れた。従来の3次元(3D)基盤の視覚特殊効果(VFX)のように高い費用がかからないのも特徴である。 パク代表は「世界で一番有名なバーチャルインフルエンサー『リル・ミケーラ( Lil Miquela )』の年間収入は130億ウォンだ。広告モデル事業の拡張、下半期のAIヒューマン・セルフ製作ソルーションの公開などを通じて、市場を拡張したい」と述べた。 ○複雑な文書を映像に変換 「ウェイン・ヒールズ・ベンチャーズ」は複雑なテキスト文書を映像に制作するサービスを運営している。文章の中の特徴的な単語や語説を抽出し、AIがそれにふさわしい映像をくっつけていく。韓国語のWordファイル1ページを映像に作るには3分程度だ。イ・スミン「ウェイン・ヒールズ・ベンチャーズ」代表は「情報伝達において数十枚の文書を読み上げるのは疲れる。自然言語処理(LP)技術とマシーンラーニング(ML)を基盤に情報の選択と集中力を上げていきたい」と述べた。 特にB2B事業において強みを持つと分析されている。電子大手企業の家電製品説明書、主要自動車メーカーの車両使用説明書などが、彼らが今まで積んで来た実績である。資本市場での関心も高まっている。累積投資金は117億ウォン相当で、今年の四半期に企業公開(IPO)に出る予定だ。イ代表は「昨年の8月にシンエイ証券を上場会社に指定し、今年の5月には上場全投資誘致(フリーIPO)にでるつもりでいる。時価総額5000億ウォンを目標にしている」と述べた。 「ニューロゼン」は2019年設立されたAI基盤認知症診断スタートアップ企業だ。広州認知症コーホーと研究団を通じて確保した約8000人の認知症追跡データが、彼らの武器である。ナム・グンヒョン代表は「認知症は発病してからの治療法がまだ明確にされていない。前兆症状が出てくるのは3~5年前で、これを把握するのがとてもむずかしい。初期診断がとても大事である」と述べた。 「ニューロゼン」社の「ニューロAI」ソルーションはAIが「アミロイド・ベター」というタンパク質の蓄積を把握する。アルツハイマーの原因となる物質だ。「ニューロ・エイアイ」は全南大学校との臨床試験を行い、今年の下半期に食品医薬品安全省の許可を目標にしている。ナム代表は「今年の9月に100億ウォン規模シリーズBの誘致を計画している。認知症診断において先端技術を保有したスタートアップになりたい」と述べた。
イ・シウン べ・ソンス