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欧州ではECB頼みの危機対応が続く

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NRI研究員の時事解説

“the only game in town“の状況に

ハイイールド債市場の動揺に加えて、経済・財政の悪化を背景に利回りが高止まりしているイタリア国債も、ECBにとっては頭の痛い問題である。注目されていた23日のEU首脳会議でも、イタリア国債の安定につながる復興基金の財源について、コロナ債(欧州共同債)の発行などの具体策で、各国が合意することはできなかった。 翌24日に米格付け大手S&Pグローバル・レーティングは、イタリア国債の格付けを「トリプルB」に据え置くと発表した。事前には、投機的格付けへの格下げも一部に予想されていた。 S&Pは格付けの据え置きを決めた理由を「政府債務は拡大するが、ECBの資産の買い入れに支えられるため」と説明している。格付けの変更の判断を、信用力とは関わりのない、いわば需給要因に求めたことには違和感がある。 しかしいずれにせよ、財政面での支援の枠組みがなかなか決まらない中、イタリア国債の命運もECBによりかかってきた感が強い。実際、PEPPの枠組みで、ECBはイタリアとスペインの国債を既に大量に買入れているのである。 ECBがハイイールド債を新たに買入れ対象に加えれば、イタリア国債と同様に、社債の格下げの流れを食い止めることになるのかもしれない。ECB以外に対応できる手段がないからECBがやらざるを得ないという、まさに“the only game in town“の状況が続いている。 木内登英(野村総合研究所 エグゼクティブ・エコノミスト) --- この記事は、NRIウェブサイトの【木内登英のGlobal Economy & Policy Insight】(https://www.nri.com/jp/knowledge/blog)に掲載されたものです。

木内 登英