逆転負けで借金8…中日・与田采配に3つの疑問 「ミスと書いてもらって構わない」 試合でも“先手”を
渋谷真コラム・龍の背に乗って
◇24日 中日2ー5阪神(ナゴヤドーム) 北條の打球が左翼・福田の頭上を越えた。その数分後には、僕のスマホに各方面から苦情のメッセージが届き、在阪の解説者からは「大変やな」と哀れみの言葉をかけられた。逆転されたのは僕ではないのに、苦情や哀れみを浴びるポイントは3つある。 ▼なぜ高橋を登録しない? 左太もも痛の高橋はこの日、ナゴヤドームでシート打撃を行い、ノックも受けたが合流止まり。昇格は見送られた。結果として1軍枠(31人)は4試合連続で1枠余らせたままだ。先発が無理なら代打がある。9回、1死一、二塁。溝脇には申し訳ないが、高橋なら相手にかけるプレッシャーも違ったはずだ。 ▼なぜ大野雄を5回で代えた? 枠を余らせ、7人しかいなかった控え野手とは対照的に、この日のブルペンには大量10人もいた。ちょっとした密。ただし、2日で46球投げた福は事実上、使えなかった。だからタフなエースに長いイニングを食ってもらうのが、ゲームプランだったはずだ。立ち上がりから球数は要したが、それでも5イニングで103球。少なくとも6回、あわよくば7回ではなかったのか…。「誰が打たれたか」は敗戦の本質ではない。 ▼なぜ前進守備だったのか? 7回、1死満塁。風前のともしびではあったが、まだ1点勝っていた。逆転の二塁走者なのは理解できるが、阪神は俊足の熊谷を代走に使っていた。コリジョン導入後、超がつく前進守備でないと、本塁生還を阻むのは難しい。福田の肩、打撃カウント(2ボール)だったこと、仮に逆転されても、まだ攻撃が3イニングある。しかし、外野は前に寄り、その分だけ越えた。ヒーローの北條が「捕られるかと思ったけど、外野が前でよかった」と笑っていた。 直後の攻撃では2死満塁。3点リードの阪神は外野を定位置に配置した。北條とほぼ同じ場所まで飛んだ井領の打球は、左飛で終わった。 「定位置にいたらどうだったのか。それはわれわれにはわからないけど、結果的に頭を越されて点が入っているわけだから、それは結果論として采配ミスと書いてもらってかまわない」 与田監督はこう言った。その通り。結果が出たことを、掘り下げて書くのが記者の仕事。そして、結果を予測して、先に手を打つのが首脳陣の仕事である。