「オオタニはスイングの判断がよくない」大谷翔平に“予想外の苦言”も…「ドジャース・ロバーツ監督52歳は名将なのか?」現地取材で分かった“監督の正体”
「失望を隠せなかった」ブーン監督
たしかにロバーツはどこまでも冷静だった。象徴的だったのが、ヤンキースとのワールドシリーズ第1戦、あのフレディ・フリーマンによるサヨナラ逆転本塁打直後の会見である。 敗れたヤンキース監督、アーロン・ブーンが記者会見場に現れたのは、フリーマンの逆転弾からおよそ20分後。球場をなかなか去らないドジャースファンの咆哮が、静まり返る会見場まで届く。フリーマンの前を打つ2番ムーキー・ベッツをなぜ敬遠したのか。9月18日以来投げていないネスター・コルテスをなぜ登板させたのか。追及を受けるブーン。 「コルテスはこの数週間、いい球を投げていた。この日に向けた準備も整っていると感じていた。(1死一、二塁で迎えた)ショウヘイからダブルプレーを取ることも難しいだろうし、後ろにいるムーキーとも厳しい対戦になる。だから左のコルテスで左のフリーマンと勝負するのが最善策だと考えた」 大きな賭けに敗れたブーンの声色には失望が滲んでいた。 わずか3分で終わったヤンキース監督の会見後、フリーマンが現れた。その顔は紅潮している。自分が放ったサヨナラ本塁打は現実なのか。確かめるように会見中、両手で幾度となく顔を拭っていた。その後に登場したのが、ロバーツだ。試合終了から40分が過ぎていた。
「興奮しているよ」は本当なのか?
「デーブ、おめでとう。フレディの一発を見て何を思ったか」。熱を帯びる記者の口調とは対照的に、ロバーツは平然としていた。 「最高の瞬間だった。イニングが始まったときは、いかにしてショウヘイに打席を回すかということを考えていた。相手はムーキーを敬遠させてフレディと対戦することを選んだ。その時点でいい予感があったね。興奮しているよ」 口では「興奮している」と言った。だが、その話し方からは、彼がサヨナラ勝ちした直後の監督だとは判断できまい。ポストシーズンの間、ドジャースタジアム会見場のロバーツはいつもこんなトーンだった。チームの内情、自身の心境を悟られまいと警戒するわけでもなければ、赤裸々にすべて明かすわけでもない。拍子抜けするほど淡々としていた。 大谷が左肩を負傷したワールドシリーズ第2戦直後もそうだった。アメリカ人記者はこぞって大谷の肩の状態を問うた。ロバーツは最初の回答で「亜脱臼であること」「検査を受けて今夜か明日に詳細がわかること」「肩の動きは悪くないため悲観していないこと」に言及した。その時点で把握している情報をすべて伝えているように見えた。それでも質問は続く。二塁ベースで何が起きていたのか。大谷が受ける検査とは具体的に何か。大谷が離脱したらどう対応していくのか。この日好投した山本由伸に話題が移ろうとも、すぐに大谷に戻った。会見は6分半に及んだ。連勝した余韻は消え、大谷の緊急事態を説明するための場と化していた。 「さっきから同じ回答をしているじゃないか」。そう憤っても不思議ではない。それでもロバーツは一度も苛立つ素振りを見せず、すべての質問に答えた。この男の本音はどこにあるのか。敗れた試合後にこそ人の思考は表れるはずだ。批判的な質問に対してロバーツはどう応じたのか。 <続く>
(「メジャーリーグPRESS」田中仰 = 文)
【関連記事】
- 【続きを読む】「イライラさせる質問かもしれません…」“批判だらけ“の記者会見、ドジャース・ロバーツ監督はニヤリと笑った…低評価「ポストシーズンに弱い」を大谷翔平と変えるまで
- 【変わりすぎ写真】「ガリガリだったエンゼルス時代」→「大谷のう、腕が…“まるでハルク”」&「ロバーツ監督に愛されるオオタニ」ドジャースベテラン勢もニコニコまですべて見る
- 【あわせて読みたい】「あれはオオタニがテオスカーを気遣ったんだ」ドジャースの控え捕手が語る“大谷翔平の優しさ”「オオタニはスターだし…緊張したよ」チームメイトの証言
- 【米国ファンの本音】「正直、オオタニに不安もあったよ」ドジャース現地ファンに聞いた“大谷翔平への本音”「野球に興味がない人もオオタニを見に来る」
- 【衝撃ルポ】「史上最悪のシーズンだったよ」大谷翔平が消えた“エンゼルスの今”…球団ワースト99敗、番記者に聞いた「ファンはオオタニにモヤモヤ」