俳優からシンガーソングライターへ 大阪駅前路上から再スタート 阪本奨悟
兵庫県西宮市出身のシンガーソングライター、阪本奨悟(23)。「テニスの王子様」のミュージカルでの主役をつとめ、NHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」など、俳優である阪本のイメージが先行する人も多いかもしれない。俳優として約束された未来を自ら絶ち、シンガーソングライターの道を選んだ阪本の進む道は平たんではなく、不安と葛藤の日々だったと話す。 「ミュージカルで主演をしていたとき、たくさんのお客さんの前で歌うことの楽しさを実感して、だんだんと自分の中に歌へ対する思いが膨らんでいきました。ファンイベントではオリジナルの歌を作って聴いてもらう機会もあり、歌を歌っているこの瞬間が一番自分らしいと感じられるようになったんです」 当時はまだ高校生で、将来の不安や漠然とした悩みに対して、支えになって救ってくれたのが音楽だったという。 「衝動的に音楽の道に進みたいと感じ、事務所に音楽メインで活動したいと相談したのですが、当然その道はそんな甘いのもではないし、俳優としての作品も増えていた時期だったこともあって、何回もぶつかった上で自分の気持ちに正直に決断しました。」 それでもやはりシンガーソングライターになるという夢はあきらめきれず芸能界をやめた。
大阪駅前での路上ライブ たった一人ではじめた音楽活動
シンガーソングライターの阪本の原点は、大阪駅周辺の路上ライブだった。 「実家のある西宮からギターと機材を持って電車で通いました。はじめは全然に足を止めてくれる人がいないくて、聴いてくれているのは路上生活をしている人たちだけということもありました」 一人でも足を止めて聴いてくれたときはうれしかったが、「お兄ちゃん、こんなところで何歌ってるんや、うるさいんや」と叱られることもあった。当時、阪本のライブに集まってくれるのはせいぜい10人程度。一人ではなかなか人を集められないと痛感したとき、近くで同じように音楽活動をする仲間と手を組み、一緒に路上やライブハウスで活動をするようになって、少し明るい兆しが見えてきた。 「ライブハウスで歌い始めると、新しいミュージシャンの方や別のライブハウスとつながりができて、聴いてくれる方も一人二人と増えてきました。初めてのワンマンライブは自作CDを100枚持っていきました。でも40人くらいのキャパで、当然100枚も売れなかったんですけどね」 そして、2014年に以前所属していた事務所に、たった一人で始めた音楽活動を認められ復帰。シンガーソングライターとしての阪本奨悟が誕生した。