中高生から圧倒的な人気、エモい系小説「ブルーライト文芸」が大人世代にも刺さっているワケ
最近、書店の文芸棚に行くと、何かと目にするのが、透明感あるエモさを感じる景色が描かれた表紙が集う、“青い”一角。その作品群こそ、昨今注目される「ブルーライト文芸」です。2016年ごろに登場して以来、中高生を中心に人気を誇り、数々の作品の実写化が実現しています。 【画像】書店の文芸棚に行くと、何かと目にする“青い”一角 これら“青い”作品が人気を博す理由について、X上にて140字小説の投稿を続け、小説投稿サイト「ノベルアップ+」でも総合1位(日間)を獲得。 ついには今年7月、ブルーライト文芸作品『ぼくと初音の夏休み』で初の長編作品デビューを果たした作家・掌編小説(しょうへんしょうせつ)さんに聞きました。
ハンデを抱えた男の子と女の子の成長物語が描かれる
若者を中心に話題を呼ぶブルーライト文芸。そんなブルーライト文芸作品を初めて執筆するにあたり、分析を重ねたという掌編小説さんは、同作品群の特徴についてこう語ります。 「ブルーライト文芸の基本構造は、『ボーイ・ミーツ・ガール』だと思います。何かしらの病気や障がいといったハンデを抱えていたり、コミュニケーションが苦手だったり、家庭環境に恵まれなかったりする主人公が、同じような境遇のヒロインと出会い、困難を乗り越えて成長していく……というのが、王道の展開だと思います」
ブルーライト文芸の作品群が持つ共通項
また、「ブルーライト文芸」の名づけ親であるぺシミさん(@pessimstkohan)は、同作品群には「田舎」「夏」「ヒロインの消失」といった共通点が見られると指摘しています。こうした“装置”が作品の魅力を際立たせる理由について、掌編小説さんは次のように話します。 「『田舎』という舞台は世代を問わず、ノスタルジーを感じさせるものなのでしょう。また、花火、お祭り、海水浴などイベントが多い『夏』は、人間関係が深まりやすい季節だとも言えます。 子どもたちにとっては日常から解き放たれる夏休みがあり、けれどもその非日常は必ず終わる。ドラマチックなストーリーを紡ぐにはうってつけなのだと感じます」