中国ネット出前「美団」出血覚悟で先行投資の訳
中国の生活サービス大手の美団(メイトゥアン)は3月26日、2020年10~12月期および2020年の通期の決算を発表した。同社はスマートフォンのアプリを通じたネット出前の最大手で、そのほかにも通販、旅行予約など多様なサービスを提供している。 この記事の写真を見る 決算報告書によれば、2020年の通期の売上高は1147億9000万元(約1兆9216億円)と前年比17.7%増加。ストックオプションや無形資産の償却、投資収益などを控除した非国際会計基準ベースの純利益は31億2000万元(約522億円)と、前年より33%減少した。
市場関係者の懸念を誘ったのは、2020年10~12月期の純損益が赤字に転落したことだ。同四半期の売上高は379億1700万元(約6347億円)と前年同期比34.7%増加したが、非国際会計基準ベースの純損益は14億3700万元(約241億円)のマイナスを計上した。前年同期の純損益は22億7000万元(約380億円)の黒字だった。 赤字転落の主因は複数の新規事業への先行投資がかさんだことだ。10~12月期の新規事業の赤字額は60億元(約1004億円)に上り、既存事業の利益を食いつぶした格好になった。
■収益化へのスケジュールは未定 美団のCEO(最高経営責任者)を務める王興氏によれば、新規事業の赤字の半分以上は、生鮮食品などを地域コミュニティー単位で安価に共同購入できるサービスである「美団優選」から生じたという。また、ネット配車サービスの「美団打車」、生鮮食品配送サービスの「美団買菜」、飲食店向け卸売りサービスの「快驢進貨」なども赤字が増加している。 しかし王氏は、これらの新規事業への投資を引き続き拡大する方針だ。例えば、美団優選は中国全土への急展開を進め、2020年12月末までに27省の約2000都市で利用できるようにした。2020年12月の注文件数は1日当たり平均2000万件に達し、前月比で倍増したという。