成長しない主人公? アラフォー寅子(伊藤沙莉)の変化について『虎に翼』制作統括に訊いた
「新潟編」で寅子は生まれ変わったのか?
「新潟編」に入る前、第15週の終わりで、優未を新潟に連れていくか否かの問題について、佐田家・猪爪家で「家族会議」を開いて、寅子は家族から盛大な「ダメ出し」を食らう。そして寅子は「生まれ変わるから、いっしょに新潟に来てください」と優未に頭を下げた。はたして寅子は新潟で「生まれ変わ」ったのだろうか。 「寅子が一家の中で働き手として重きをなしていくなかで生じてしまう『ズレ』を描きたいということを、初期の脚本打ち合わせで大きな話の流れを作っている段階から、吉田さんがおっしゃっていました。キャリアを重ねていくなかで寅子はある種、『名誉男性化』していく。なぜか『悪いおじさん』みたいな感じになってしまう寅子をしっかり描いたうえで、そこからの変化を描きたいという、当初の意図に沿って描いたかたちです」と語った。 さらに、こう続ける。「寅子は優未に『生まれ変わるから』と言いましたが、すべての人が納得するような寅子になることが、正しく『生まれ変わる』ということでもないんじゃないかな、と思っています。目覚ましい成長や変化ではないけれど、寅子と優未の親子の関係のなかで、少しずつ移り変わりが紡がれている。これが、寅子にとっての『良い変化』なのではないかと」。 物語は終盤。寅子の家族や友人との日常が引き続き描かれ、長きにわたる原爆裁判がついに判決の時を迎える。今後の寅子の変化にも注目したい。