“ちむどんどん”とは程遠い黒島結菜の新生活 井之脇海、高嶋政伸ら新章の重要人物も登場
大勢の人と車が行き交う都会の街並み。海や畑が広がる見慣れた風景はどこにもない。 「ありえん! やんばる帰る~!」 【写真】井之脇海演じる料理人・矢作 早くもホームシックに陥った暢子(黒島結菜)の叫びが響いたNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』第6週初日、“東京・鶴見編”の幕開けだ。 1972年5月15日の沖縄本土復帰とともに故郷を旅立ち、上京した暢子。レストランのシェフを目指す彼女が東京で最初に訪れたのは、早苗(高田夏帆)が予約してくれていた銀座のイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」だった。 見るからに格式高いその場所は料理の名前も呪文みたいで全く想像がつかず、値段も暢子には信じられないほど高い。「まさかやー!」といちいち驚きを隠せない暢子を見守るのは、紳士的な料理長の二ツ橋(高嶋政伸)と“女帝”という言葉が似合う、気品にあふれたオーナーの房子(原田美枝子)だ。 元気いっぱいの暢子に思わず笑みが溢れるも、「残念ながら彼女は何年いても都会人にはなれない。ここでのお食事もきっと最初で最後ね」と房子は二ツ橋に耳打ちする。実はこの2人、そして料理を運んできた従業員の矢作(井之脇海)も暢子の人生に深く関わることになるのだが、それはまだ後の話。それよりも気になるのは、暢子の住む場所と就職先だ。まさか行き当たりばったりで東京に出てきたわけではあるまい。 その“まさか”が的中し、暢子は「東京に来い!」と手紙で自分を呼び寄せた賢秀(竜星涼)だけを頼りに上京してきたことが明らかに。東京でプロボクサーになり、デビュー戦で見事なKO勝利を収めた賢秀。ファイトマネーで借金も返せて、これからは生活もちょっとは楽になる……家族の誰もがそう信じていた。
しかし、これまでのらりくらりと生きてきた人間が一発逆転でお金持ちになれるほど人生は甘くない。賢秀が所属するボクシングジムを訪問した暢子はそこで衝撃の事実を知る。賢秀がデビュー戦で圧勝できたのは相手がお腹を壊していたからであり、まもなく第2戦で破れた彼は失踪。さらに実家に届いた60万の仕送りはボクシングジムの安里会長(具志堅用高)をはじめ、周りの人から借りて集めたお金だというのだ。 ということは、比嘉家はまた借金地獄に逆戻り。暢子の東京生活はどうなるのか? 沖縄に残された家族3人は? と、いっぺんにたくさんの不安に襲われるが、まずは問題を解決するにも賢秀を探さねばならない。暢子は賢秀がよく飲みに行っていたという場所にたどり着く。そこは明治以降、出稼ぎにやってきた沖縄県民が数多く移住し、いまや“関東一の沖縄タウン”と呼ばれる神奈川県横浜市の鶴見だ。そうとは知らない暢子は見知らぬ土地や酔っ払いのおじさんたちに怯え、その日泊まる場所もなく途方に暮れる。 『あさイチ』(NHK総合)の博多大吉は、そんな暢子を「一言で言えば準備不足」と一刀両断。全くその通りだが、“ちむどんどん”とは程遠い前途多難な彼女の新生活を支える救世主は現れるのだろうか。
苫とり子