三日月大造・滋賀県知事に聞く「人口減少は不可避」(全文1)
人口減少を食い止めたいか
──これまでは大学や企業が滋賀県内に来るというタームで、それに伴って人口も増加していたが、知事が就任された時に、人口減少に転じた。県が新たに作った戦略の中では減少をなるべく食い止める方向と、減少をしたとしても活気を失わないという施策が両方ある。星印の数で言えば、減少を食い止める施策に非常に重きを置いているように見える。どうして人口減少を食い止める施策に星印をつけているのか。 なるほど。鋭いご質問ですね。人口減少局面に入りました、滋賀県も。ただ、実はその前から、地域によっては、市や町によっては、もう減少局面に入っている地域もありました。滋賀県で難しいのは、南部を中心に2040年、2050年にもまだ増加すると推計されている地域もあります。したがって、県総体として減少局面に入ったんですけれども、地域によってそれぞれ事情が異なるという、こういうことがあります。 おっしゃったように、人口減少を食い止めよう、そして人口構造を安定させようという施策と、もう一つは、もう人口減少は不可避なので、その影響をできるだけ最小限に抑えようという施策と。実はこの三つ目に、ここに一番重きを置いたんですけれども、人口急増時代に失ったもの、我慢してきたものを取り戻そうと。むしろ人口減少時代だからこそ、大事にしなければならないこととか、そういうことにも着目しようっていう、この三つ目が、ある意味では滋賀ならではの施策でして。 例えば、人と人とのつながりっていうのも、人口増加時代には少し希薄だったんじゃないかとか、住む空間も狭くて我慢していたんじゃないかとか。歩く空間とか、何か自動車に追いやられて、隅っこを危なく歩いていましたよねとか。あと、緑の空間ですね。そういうものをもう少し取り戻そうと。 典型的なのは、琵琶湖を埋め立てて、食糧生産のために干拓地っていうか農業をやっていました。しかし、その琵琶湖をもう一回内湖に戻して、干拓地を琵琶湖に戻す。そういう取り組みもやっています。ぜひ、こういう取り組みをこれからの人と自然との関わり方、暮らし方っていうことで、モデルを示して、国内外に発信していけたらいいなと思っています。