J2移籍市場最前線(2)チョウ・キジェ招へいでJ1昇格本気度A!京都の課題は「ウタカの後ろ」
■補強ポイントの2シャドーに教え子がズラリ
ランコ・ポポヴィッチ監督を続投させて既存の戦力と新戦力をミックスしているのがFC町田ゼルビアなら、チョウ・キジェ新監督のもとでチームを組み直しているのが京都サンガF.C.だ。 【画像】京都サンガの「守備の要」ヨルディ・バイスの試合中の雄姿!」 20年シーズンの京都は16勝11分15敗の勝点59で8位に終わった。47得点はリーグ13位タイで、45失点は7位だった。 47得点のうち22得点は、得点王に輝いたピーター・ウタカがあげたものだ。2月に37歳となるウタカに衰えは見られないものの、彼以外の選手による得点を増やすことが、J1昇格へのポイントになるのは間違いない。 20年シーズンの京都は3-4-2-1を基本布陣とし、湘南ベルマーレを指揮した当時のチョウ監督も同じシステムに軸足を置いた。51歳の指揮官が同様の戦い方を選ぶなら、1トップのウタカの後方に位置する2シャドーの選手が、得点を増やしていかなければならない。 20年シーズンに2シャドーでもっとも得点を記録したのは、6ゴールの仙頭啓矢だった。しかし、昨シーズン途中に横浜F・マリノスから期限付き移籍していた彼は、期間満了でチームを離れた。 仙頭の去就が不確かなことも見通して、チョウ監督は湘南在籍時に2シャドーで起用した武富孝介(浦和レッズから)、松田天馬、中川寛斗(いずれも湘南から)を獲得したのだろう。J3のガイナーレ鳥取から獲得した三沢直人も、2シャドーを含めた複数ポジションに適応する。契約を更新した宮吉拓実も2シャドーに当てはまり、ひとまず人数に不足はない。
■将来性豊かなCB木村が期限付き移籍で加入
最終ラインから中盤にかけては、GK福島春樹(浦和)、DF荻原拓也(いずれも浦和から)、CB木村誠二(FC東京から)、MF武田将平(甲府から)を獲得している。 GKは36歳の加藤順大の契約満了を受け、27歳の福島を期限付きで獲得した。荻原は21歳のレフティで、昨シーズン途中からアルビレックス新潟に期限付き移籍した。左サイドバックを中心に2列目でもプレーでき、右サイドで起用されたこともある。チョウ監督のもとでも、複数の役割を担っていくかもしれない。 木村は186センチのサイズを持つCBだ。J1の大分トリニータ入りした上夷克典に代わるべき人材としての補強だろう。 武田は左利きのボランチで、20年はファジアーノ岡山からヴァンフォーレ甲府へ期限付き移籍していた。31歳の庄司悦大が軸となり、プロ1年目の川崎颯太が台頭したボランチのポジションに、新たな選択肢がもたらされる。 【補強充実度】 B 監督のサッカーに合った選手を、堅実に獲得している。 【J1昇格本気度】 A チョウ監督の招へいこそが、チームとしての本気度を何よりも表わす。 【J1昇格可能性】 B 就任1年目の指揮官が、どこまでサッカーを浸透させられるか。監督の経験値はもちろん高いが、現時点では「B」にとどまる。 (次回はアルビレックス新潟とギラヴァンツ北九州の診断を予定)
戸塚啓