3.14武藤敬司戦は“脱・三沢光晴”の第一歩 清宮海斗「お客さんをプラスに裏切っていければ」
3月14日の福岡国際センターにおける新GHCヘビー級王者・武藤敬司への挑戦を前に2回の前哨戦はいずれも敗戦。自身がフォールを奪われたわけではないが、ノーコメントを通してきた清宮海斗は何を考えているのか? 決戦前にじっくりと心境を聞いてみた。 (聞き手/小佐野景浩) プロレスに興味を持ったきっかけが小学校2~3年生の時に偶然借りた三沢光晴vs高山善廣(01年4月15日、有明コロシアム=初代GHCヘビー級王者決定戦)だった清宮にとって、武藤の記憶は闘魂三銃士ではなく、すでにスキンヘッドになったナチュラル・ボーンマスターだ。「東京ドームで三沢さんの相手として試合されることもあったので、単純に“スゲー人なんだな!”っていうイメージでした」と言う。 その武藤との初遭遇はGHCヘビー級王者時代の19年9月15日のエディオンアリーナ大阪。清宮のラブコールによって実現した清宮&武藤&秋山準vs丸藤正道&望月成晃&谷口周平だった。試合は清宮が谷口をタイガー・スープレックスで押さえたが、そこで実感したものは何だったのか? 「あの時はベルトを持っていたので、ベルトの戦い以外で、他の刺激として、チャンピオンを経験している人たちと肌を合わせて、僕もチャンピオンとしてスキルアップしたいという思いから、出てきた選手が武藤さんでしたね。秋山さんもそうです。戦うよりも組んだ方が感覚的なことが得られると思いました。実際に試合をしてみて(存在感では)惨敗っていう感じでしたね。自分がベルト持っていても、目立ったのが武藤さんと秋山さんっていうので、凄く糧になりました。視野が広くて、自分が見ているところよりもはるかに大きいところから見ているなっていうのがありましたね」 それから約1年後、GHC王座から陥落して無冠になった清宮は、今度は組むのではなく、戦いたくなった。底知れぬ武藤の領域に踏み込むことを決意したのである。 「次にチャンピオンになった時っていうのをずっとイメージしていたので、いい機会だと。僕は結構、基本的なことから試合の流れを作っていきたいんですけど、武藤さんと試合をしていると、理屈に適う動きをするので、凄く勉強になりました。僕もグラウンドが好きなんですけど、武藤さんは返し方とかも凄くうまくて。僕は格闘技経験がないからこそ、リング上での腕の取り合いとか基本的なところにのめり込んでいて、そこがすっごい楽しくて、ずっとやってきました。派手さは入場とかで出して、リング上の戦いは、そういう部分で詰めていきたいですよね。序盤を緊張感持ってできると、凄く楽しいですね。頭を使いますし。“こう来たら、こうしてやろう”とか。そういう知恵の輪みたいなのが凄く面白いですね」